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家・住宅購入コラム

【中古物件】戸建ては何年住める?寿命やリフォームについて解説!


 
戸建て住宅の購入を検討する際に、新築ではなく中古の物件を選ぶ人は少なくありません。
 
中古物件の主なメリットは、新築物件よりも購入価格が安く、新築物件を建てる余地がないような人気エリアに住めることです。
しかし購入した中古物件の劣化が進んでおり、修繕やリフォームが必要な場合、結果的に新築物件よりも費用が高く付いてしまうケースもあります。
 
中古の戸建て住宅を購入するにあたって「リフォームはどのくらい必要なのか」「そもそも戸建ては何年住めるのか」という不安もあるでしょう。
 
この記事では、中古の戸建て住宅を購入する際に知っておきたい、以下の4点について解説します。
・戸建て住宅の寿命
・リフォームによる住宅寿命の延ばし方
・日々のメンテナンス方法
・住宅の寿命が来てしまった時の対処法
 
リフォームにかかる具体的な費用についても解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
 

戸建て住宅の寿命は何年?

 

 
戸建て住宅には寿命があります。
中古住宅は購入した時点で、建てられてから数年〜数十年の年月が経過しています。
長く住み続けるためにも、住宅の寿命は知っておきたいポイントです。
 
「寿命」と一口に言っても、見方によってその年数が大きく異なるため、それぞれ解説していきます。
 

住宅の一般的な寿命は30年

 
日本に建っている住宅が取り壊される際の築年数は、平均して30年です。
このことから「住宅の寿命は30年」と言われています。
 
日本人の平均寿命は、男女共に80歳を超えています。
30歳の時に住宅を購入したとしたら、住宅の寿命が来る30年後はまだ60歳です。
生涯住み続けるつもりで購入したのにもかかわらず、自分の寿命よりも、住宅の寿命が先に来てしまうことになります。
 
住宅周辺の環境や天候、自然災害の有無などにより住宅の劣化のスピードは異なりますが、劣化が深刻になり寿命が来てしまう前に手を打つ必要があります。
 

物理的な寿命は80年

 
住宅の物理的な寿命は、80年とされています。
取り壊される住宅の平均築年数は30年ですが、実はまだ住める状態にもかかわらず取り壊されているケースがほとんどです。
 
お寺などの歴史的建築物が数百年にわたり鎮座し続けているように、メンテナンス次第では長い間住み続けることができます。
 
日本では、中古物件よりも新築物件が好まれる傾向にあります。
メンテナンスが行き届いた持ち家があっても、自分の子供が新築物件を購入するなどして引き継がれない場合、いつかは取り壊さざるを得ません。
 
一方海外では、次の世代に住宅を引き継ぐ文化が根付いている国が多いです。
取り壊される住宅の平均築年数も、イギリスが約77年、アメリカが約55年と日本の30年を大幅に上回っています。
 
日本は地震などの自然災害も多く、文化の面だけで海外と比較することはできませんが、住宅を住み継ぐことで長持ちさせる選択肢もあるのです。
 

法定耐用年数で見る寿命は22年

 
国税庁が定める耐用年数表を見ると、木造の住宅の法定耐用年数は22年となっています。
 
法定耐用年数は、不動産の売買価格を査定する際に基準となる数字です。
「住宅は築年数が経つにつれて価値が下がるもの」という前提で国税庁が定めており、実際に住める期間とは異なります。
 
実際に住める期間を表すのは、物理的耐用年数です。
ひとつ前の章で解説した「物理的な寿命は80年」は、物理的耐用年数に基づいています。
物理的耐用年数は、住宅に使用される材質や工法などから考えられた、安全に住み続けられる期間の目安です。
 
また、市場で売買される価値がなくなるまでの期間を表すのが、経済的耐用年数です。
木造住宅の経済的耐用年数は、25年と言われています。
住宅の劣化具合や、必要な修繕費用などから算出されます。
 

鉄筋コンクリート造の寿命は長い

 
日本の戸建て住宅は木造が一般的ですが、なかには鉄筋コンクリート造の戸建て住宅もあります。
 
鉄筋コンクリートで造られた住宅は耐久性や耐震性、耐火性に優れており、木造に比べて寿命が長いです。
建築費用は木造よりも鉄筋コンクリート造の方が高くなります。
 
鉄筋コンクリート造の住宅における法定耐用年数は47年で、物理的耐用年数は100年以上とも言われています。
 

中古住宅はリフォームで寿命を延ばす

 

 
中古住宅は、リフォームによって寿命を延ばすことができます。
 
住宅は、建てられてからの年数が経てば経つほど、様々な部分が劣化していきます。
とくに基礎や柱、壁などの住宅を支える部分の劣化は、安全面でのリスクが高いです。
 
ここではリフォームの方法や費用、メリットについて解説します。
 

劣化している箇所を点検する

 
リフォームを行うにあたり、まずは住宅の中で劣化している箇所を点検します。
キッチンやお風呂などの水回りは、とくに劣化が現れやすいです。
 
住宅の基礎部分など、生活するうえで目に触れないような箇所が劣化している可能性もあります。
リフォーム業者に依頼して、専用の機械を使って本格的に調べてもらいましょう。
 
プロの目線からリフォームが必要と判断されれば、そのまま施工を依頼します。
 

リフォームの費用はいくらかかる?

 
住宅のリフォームにかかる費用は、施工する箇所や内容によって大きく異なります。
リフォーム費用の相場は以下のとおりです。
 

施工内容 費用
キッチンの交換 70万円
お風呂の交換 70万円
トイレの交換 15万円
洗面台の交換 15万円
外壁の塗装や防水 80万円
クロスの張り替え 35万円
屋根の塗装 40万円

 
リフォーム業者から施工後のイメージ写真などを見せられると、予定していなかった箇所の施工も依頼したくなりますが、予算をオーバーしないように気をつけましょう。
リフォームの目的に合わせて、事前に施工の優先順位を付けておくことも大切です。
 
家全体をリフォームする場合の相場は、1000万円〜2000万円ほどです。
 
以下のようなケースだと、必要な設備や人員が増えるため、追加費用が発生する可能性もあります。
・劣化がかなり進んでいる
・住宅までの道が狭い、もしくは入り組んでいるなど、設備の搬入に手間がかかる
 
リフォーム費用の一括払いが難しい場合は、リフォームローンの利用も検討しましょう。
中古住宅を購入する時点でリフォームすることが決まっている場合、住宅ローンにリフォーム費用を組み込むこともできます。
 

耐震性が低い場合は優先的にリフォームする

 
住宅の耐震性が低い場合、優先的にリフォームして補強しましょう。
とくに1981年6月1日より前に建築確認を受けた住宅は、旧耐震基準で建てられているため注意が必要です。
 
旧耐震基準は「震度5強程度の地震」に耐えることを想定し、定められています。
一方で、現在も使用されている新耐震基準は「震度6強〜7程度の地震」に耐えることを想定し、定められています。
 
震度6以上の地震はいつ起きてもおかしくありません。
命を守るためにも、耐震性が低い住宅は、リフォームで耐震補強をしておきましょう。
 
耐震補強にかかる費用は、25万円〜が相場です。
耐震性の低さ以外にも、そのままにしておくと安全面でリスクがあるような箇所は、優先的にリフォームすることが大切です。
 

リフォームにはメリットが多い

 
住宅の寿命を延ばす以外にも、リフォームには多くのメリットがあります。
 
最も大きなメリットは、生活環境が改善されることでしょう。
・断熱性の高い窓にすることで、室内が適温になり過ごしやすくなる
・バリアフリー化で移動が楽になる
・設備が使いやすくなる
 
また、リフォームによって住宅の資産価値が上がることもメリットの1つです。
施工内容によっては補助金を受けられる可能性もあるため、リフォームを発注する前に、自治体のホームページなどから確認しておきましょう。
 

日々のメンテナンスで寿命を延ばす

 

 
住宅の寿命を延ばすためには、日々のメンテナンスも欠かせません。
集合住宅の場合、外壁や廊下などの共用部分は管理会社が管理してくれますが、戸建ての場合はすべて自己責任です。
 
メンテナンスをしていると、小さな不具合にも気づきやすく、早い段階で対処できます。
 
日々のメンテナンスで大切なのは、こまめな掃除と、プロの点検です。
それぞれ解説していきます。
 

こまめな掃除

 
汚れは住宅を劣化させる原因になるため、こまめに掃除しましょう。
とくにキッチンやお風呂などの水回りは湿気が多く、カビも発生しやすいため、劣化が速い傾向にあります。
湿気がこもらないように、こまめな換気も大切です。
 
以下のような設備の調子も、あわせて確認してください。
・水道からの水の出具合はどうか
・換気扇から異常な音はしないか
・トイレは詰まりやすくないか
・水漏れはないか
・雨どいは詰まっていないか
 
不具合があれば、速やかに設備のメーカーに問い合わせして、原因を調べましょう。
 

プロの点検

 
住宅の劣化は、素人が見ただけではわからない場合もあります。
定期的に専門業者などのプロに依頼し、点検してもらいましょう。
 
住宅の状態を見てもらうことを「ホームインスペクション(住宅診断)」と言います。
ホームインスペクションの費用は5万円ほどが相場です。
 
点検箇所ごとの点検の間隔は、以下を目安にしてください。
 

点検箇所 点検間隔
屋根 10年
クロス 10年
キッチン 15年
トイレ 20年
お風呂 20年
雨どい 20年
外壁 10年
基礎 5年

 
とくに住宅の床下にあたる基礎部分には注意しましょう。
湿気により木材が腐ってしまったり、シロアリによる被害が出たりすると、取り返しが付かない事態になる恐れもあります。
 
施工範囲が狭ければ、その分費用を抑えることができるため、劣化が広がってしまう前に対処することが大切です。
 

寿命が来てしまった時の対処法

 

 
適切なリフォームや日々のメンテナンスを行っていても、住宅の寿命が来てしまうことがあります。
寿命が来てしまった住宅は、建て替えるか売却するのが一般的です。
 

建て替え

 
建て替えの場合は、寿命が来てしまった家を一度解体し、同じ土地に新たな家を建てます。
建て替えのメリットとデメリットは以下のとおりです。
 
【建て替えのメリット】
・使いづらい間取りを一新できる
・スロープやエレベーターなどの大掛かりなバリアフリー化を実現できる
・最新の耐震性や断熱性を求められる
・補助金を受けられる可能性がある
 
【建て替えのデメリット】
・工事に半年〜1年ほどの期間を要するため、仮住まいを考える必要がある
・仮住まいに移る時と、建て替えた住宅に戻る時で、引越し作業が2回必要になる
・建て替え前よりも厳しい建築規制がかかる可能性がある
・リフォームよりも費用が高い
 
建て替えにかかる費用は、面積や条件によって異なりますが、2000万円〜3000万円ほどが相場です。
 

売却

 
寿命が来てしまった家をそのまま売却するという手もあります。
売却したあとは、身内の家や賃貸物件に移り住んだり、新たに物件を購入したりして住まいを確保します。
 
高齢者の場合、年齢や収入によっては賃貸物件を借りられない可能性もあるので、事前に確認しておきましょう。
 
また寿命が来るほど築年数が経った家は、資産価値がゼロに近い可能性もあり、売却できても利益が出ないかもしれません。
不動産会社によく相談したうえで検討してください。
 

空き家として放っておくのはNG

 
寿命が来てしまった住宅を、空き家として放っておくのは避けましょう。
 
空き家は放火や盗難、不法侵入などの犯罪が起きるリスクが高いです。
年月が経ち草木が伸びてしまうと、外からは中の様子が見えないため、さらに狙われやすくなります。
 
また寿命が来てしまった住宅は、住宅を支える基礎や壁、柱などが傷んでいる可能性が高いため倒壊のリスクもあります。
万が一倒壊してしまい、通行人や周りの住宅に被害が出てしまうと、空き家の所有者として責任を取らなければなりません。
 
住宅は、人が住まなくなると劣化が早まります。
リスクが高い空き家を減らすために、国も様々な対策を考えており、条件によっては補助金制度もあるので活用しましょう。
 

まとめ【住宅の寿命は延ばせる】

 

 
戸建て住宅は、建てられてから30年ほどで取り壊されるのが一般的です。
しかし、戸建て住宅の物理的な寿命は80年と言われており、寿命が来る前に手放す人が多いことがわかります。
 
劣化が心配な中古物件でも、リフォームを行うことで寿命を延ばすことができます。
リフォームには費用がかかるため、中古物件を購入する場合は、リフォーム費用を加味した購入予算を立てることが大切です。
 
住宅の寿命を延ばすためには、日々のメンテナンスやプロによる定期的な点検も欠かせません。
購入した住宅に対して責任を持ち、適切に管理していくことが大切です。

柴田 誠

所属会社:
株式会社プレシーク
所属会社のWEBSITE:
https://www.preseek.co.jp/
保有資格:
宅地建物取引士、不動産コンサルティング技能登録、ファイナンシャルプランナー、国内旅行取扱主任者、初級システムアドミニストレータ、相続アドバイザー協議会会員

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