戸建てVSマンション買うならどっち?メリット・デメリット徹底比較
マイホームの購入を検討する際、まず最初に「戸建てか?マンションか?」と悩む人が多いのは今も昔も変わりません。
「戸建てとマンションの相場はどのくらいなんだろう?」
「住み心地はどうなんだろう?マンションは周りが気になるかも…」
「それぞれのメリット・デメリットを比べてみたいな」
まず気になるのはお金の面ですが、長く住むうえで少しでも後悔を減らすためには、様々な角度から比較検討すべきでしょう。
本記事では、上記のような悩みを解決できるように、統計データなどを用いながら戸建てとマンションを以下の観点で比較しつつまとめました。
●購入価格
●ランニングコスト(維持費)
●資産価値
●住みやすさ
●それぞれのメリット・デメリット
なお、本記事の目的は双方に優劣を付けることではなく、自分に合った条件を見つけるための比較材料を提供することです。
想定していなかった比較材料や選択肢が見つかる可能性もあるので、ぜひ参考にしてみてください。
戸建てVSマンション【購入価格】で比較
まず何よりも気になる「購入価格」について見ていきましょう。
これについては「住宅金融支援機構」という機関が、毎年調査して統計データを公表しています。以下は「実際に売買が成立した価格」の全国平均をまとめたものです。
分類 | 建物の種類 | 全国平均価格 |
戸建て | 新築 注文住宅 |
3,572 万円 (土地代込み) |
土地付き 注文住宅 |
4,456 万円 (土地代込み) |
|
建売 | 3,605 万円 | |
中古 | 2,614 万円 | |
マンション | 新築分譲 | 4,529 万円 |
中古 | 3,026 万円 |
※千円単位は四捨五入
出典:一般社団法人住宅金融支援機構『2021年度フラット35利用者調査』
新築の場合、実は戸建てとマンションの購入価格はあまり変わらないということがわかります。上記はあくまで平均値ですが、一つの指標として参考になるでしょう。
とはいえ、実際はエリアによって土地の価格は大きく変わりますし、マンションの場合は階数や間取りによってもかなり上下します。
少しでも価格を抑えたい場合は?
戸建てとマンションに共通して言えることは、「条件面が価格に大きく影響する」という点です。したがって価格を抑えたい場合は建物の種類よりも「条件を変えられないか」を検討してみるのが良いでしょう。
具体的には以下のような選択肢です。
●中古物件を検討する(建物が安くなる)
●中心部から郊外へ(土地が安くなる)
●駅から少し離れる(土地が安くなる)
●マンションの場合は階層を下げる、部屋の方角を変える
どれか1つを変えるだけでも、かなり価格を抑えられる可能性があります。
戸建てVSマンション【ランニングコスト】で比較
マイホームの購入はどうしても「購入価格」に目が行きがちですが、どんなにお得な価格で購入してもランニングコストが高ければ結局「高い買い物」になってしまいます。
ということで、ここでは買った後にかかる「維持費」を見ていきましょう。
戸建てとマンション共通のランニングコスト
どちらの場合でもかかるランニングコストは以下の2つです。
●固定資産税
毎年1月1日時点で土地や建物を所有している人に課せられる税金。
長い目で見ると木造よりも鉄筋コンクリートの方が割高になるため、平均するとマンションの方が割高になる傾向があります。
●保険料
火災保険・地震保険・家財保険など。
構造上、マンションよりも戸建ての方が火災や災害のリスクが高いと考えられているため、平均すると戸建ての方が割高になる傾向があります。
この他、市街化計画や再開発が予定されているようなエリアでは「都市計画税」という税金が追加でかかるケースもあります。
戸建て特有のランニングコスト
戸建ての場合「建物全部が自分のもの」なので、建物の外側の補強や修繕もすべて自己負担です。具体的には以下のようなものです。
●外壁
●屋根
●ベランダやバルコニー
●シロアリ対策
上記のような箇所について、住宅メーカーでは約20年に1回程度のメンテナンスを推奨しています。故障や破損がなくても、定期的な点検やメンテナンスの費用も見込んでおくべきでしょう。
マンション特有のランニングコスト
マンションの場合、「共用部分は入居者みんなでワリカン」という考え方です。
有事の際に入居者全員からお金を集めるのは大変なので、以下のような名目で毎月徴収して積み立てるという方法が一般的です。
●管理費
●修繕積立金
これは毎月支払う費用が発生するということで、実際のローン返済額よりも月々の支払いが高くなることを意味しています。
この他、マンションの敷地も自分の持ち物ではないので、必要に応じて駐車場・駐輪場などにも費用が発生します。
ランニングコストも一長一短
ここまでに解説したとおり、ランニングコストの多くは建物の修繕費です。
当然ながら、新築はしばらく修繕不要ですが、中古物件は築年数が長くなるぶん修繕費が発生しやすくなります。
戸建てVSマンション【資産価値】で比較
一般的に、住宅ローンは何十年も続くもの。
これだけ期間が長くなると、途中でやむなく引っ越すことになったり、逆に売却した方がメリットがあるといった状況になる可能性もゼロとは言い切れません。
このような場合に重要になるのが、買った家の資産価値です。
先に結論からお伝えすると、「戸建ての方が資産価値が残りやすい」ということになります。これを踏まえて解説します。
不動産における資産価値の考え方
簡単に言うと、不動産の資産価値は「土地」と「建物」に分けて考える必要があります。
建物の価値は「経年劣化」という概念があるので、戸建てかマンションかは関係なく年数が経つほど価値は下がっていきます。
一方、土地にはこの「経年劣化」の概念がありません。土地は相場が変動するので一概には言えませんが、建物よりは価値が残りやすいと考えられます。
このような理由から、資産価値の観点では土地も自己所有になる戸建ての方が有利、ということになるのです。
【まとめ】戸建てとマンションにまつわる「お金」の比較
文章では分かりづらい部分もあったかと思うので、ここまでの話を簡略化して早見表にまとめます。
建物の種類 | 購入価格 | ランニングコスト | 保険料 | 資産価値 | |
---|---|---|---|---|---|
新築 | 戸建て | 高い | 短期的には安い | 高い | 土地のぶん
残りやすい |
マンション | 高い | 毎月費用がかかる | 安い | 減少する | |
中古 | 戸建て | 安い | 割高 | 高い | 土地のぶん
残りやすい |
マンション | 安い | 毎月費用がかかる | 安い | 減少する |
※固定資産税は木造の方が安く、鉄筋コンクリートの方が高い
このように比較してみると、戸建てとマンションは一概に購入価格だけで比べるものではないということがわかります。
それぞれのメリット・デメリット
ここからはお金以外の面で、戸建てとマンションそれぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
あくまで戸建てとマンションの比較なので、すべての比較対象が「戸建てに比べて」「マンションに比べて」という意味合いです。
戸建てのメリット
●専有スペース(私有地)が広い
戸建ては屋外のスペースが確保できます。
駐車・駐輪・BBQなど専有スペースの用途は多く、便利さや快適さを感じる大きな要因となります。
●カスタマイズ性が高い
建物も土地もすべてが自己所有なので、細部まで自由にカスタマイズできます。
住んで初めてわかる不便さをリフォームで解決したり、生活スタイルの変化に合わせて住環境を改善できるというのは、大きなアドバンテージです。
●生活音のストレスが少ない
近隣住民に迷惑をかけないことは大前提ですが、マンションに比べて隣との距離が保たれているので、普段の生活にそこまで神経を尖らせる必要はありません。
このような気持ちのゆとりは、快適さに直結する重要なポイントです。
●近隣トラブルが起きにくい
3と重複する部分もありますが、近隣トラブルの大半は「騒音問題」です。
物理的に距離が離れているぶん、トラブルは起きにくいと言えるでしょう。
●日当たり・風通しが良い
戸建ては1部屋に2面以上の窓を設置できることが多く、日当たりや風通しがよくなります。
戸建てのデメリット
●管理はすべて自己責任
自己所有の自由度は、そのまま責任の範囲と表裏一体です。
建物の内外を問わず、汚損・破損はすべて自己負担で賄う必要があり、思わぬ出費に悩まされることもあります。
●防犯性が低い
極端な表現かもしれませんが、戸建てはその気になればどこからでも侵入できてしまいます。建物全体が公共の場と接しているので、マンション以上に防犯意識と対策が必要となります。
●建物の寿命が短い
戸建ての構造は木造が一般的です。このため、鉄筋コンクリートのマンションに比べると建物の寿命(耐用年数)がかなり短くなります。
参考までに、税法上では「木造22年」「鉄筋コンクリート47年」と定められています。
●気密性・断熱性が低い
3と関連して、木造は鉄筋コンクリートに比べて気密性、断熱性の面ではどうしても劣るため、冷暖房効率が悪くなる傾向があります。
また、2階建以上になると広くなるぶん、光熱費が割高になってしまいます。
●部屋によって温度調節が難しい
「日当たりが良く風通しが良い」というメリットを挙げましたが、実際に住んでみると冬の1階は非常に寒く、夏の2階以上は非常に暑いなど、温度調節が難しいという側面もあります。
【まとめ】戸建てのメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
・専有スペースが広い | ・管理はすべて自己責任、自己負担 |
・カスタマイズ性が高い | ・防犯性が低い |
・生活音のストレスが少ない | ・建物の寿命が短い |
・近隣トラブルが起きにくい | ・気密性、断熱性が低い |
・日当たり、風通しが良い | ・部屋によって温度調節が難しい |
マンションのメリット
●立地が良く利便性が高い物件が多い
新築マンションの場合、はじめから立地や利便性などの付加価値を考慮している物件が一般的になっており、購入の決定打になることも多いです。
駅直結、商業施設が併設、河川の隣など、戸建てではマネできない利便性やロケーションも珍しくありません。
●眺望が良い
階層や周辺環境に左右されますが、ある程度の階層になると視界を遮るものがなくなります。このような景観は戸建てでは味わえない、マンションならではの醍醐味と言えます。
●防犯性が高い
防犯カメラ、オートロックの他、大型マンションでは24時間警備がある場合も。
とはいえ、低層階は防犯性が下がりますし、上層階でも空き巣が入る事例が増えているので過信は禁物です。
●建物の管理・清掃の手間が少ない
玄関ドアの外はすべて共用部なので、清掃などは専門業者が行うのが一般的。
照明が切れた場合も連絡を入れればすぐに交換してもらえるなど、入居者の負担が軽減されています。雪が降る地域では、除雪が不要なことも大きなメリットです。
●設備が充実している
一番恩恵を受けやすいのはゴミ捨てです。曜日も時間も無制限の建物であれば、ゴミの日を待って自室に溜め込む必要もありません。物件によっては生ゴミをキッチンで直接処理できる設備もあります。
グレードの高いマンションであれば、パーティールームやジムを備えていることもあり、自宅にいながら様々な設備を利用できます。
マンションのデメリット
●専有面積が狭い
管理する面積が狭いのは楽ですが、戸建ての庭のようなフリースペースは確保しづらく、駐車場や駐輪場などに料金が発生したり、空きが無いという場合も。
また、リフォームなどがしづらく、オリジナリティを演出しづらい、構造的な不便を解消できないといったデメリットもあります。
●自他ともに生活音が気になる
これはマンションの宿命ですが、上下左右から聞こえる音が気になったり、自分の家から生活音が漏れていないかと気にしながら生活するのが日常となります。
慣れてしまえばそこまで気にならないのかもしれませんが、戸建てに比べてストレスを感じるシーンが多くなります。
●近隣トラブルが発生しやすい
戸建ての項でも触れましたが、近隣トラブルの多くは「騒音問題」のため、他の家庭と物理的に距離が近いマンションはどうしてもトラブルに発展しやすい傾向があります。
●月額の固定費が割高
こちらも繰り返しになりますが、マンションには管理費や修繕積立金といったランニングコストが発生します。
月額の固定費の増加は、単純に生活の圧迫に直結します。
●日常の移動距離が長い
マンションはどうしても移動距離が長くなりがちです。
玄関を出て廊下を歩き、階段やエレベーターを使い、廊下を歩いて、駐車場を通ってようやく敷地外へ…といった具合です。
毎日のことなので外出が億劫になったり、火災や災害時の避難に時間がかかるリスクも併せ持っています。
【まとめ】マンションのメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
・立地が良く利便性が高いケースが多い | ・専有面積が狭い |
・眺望が良い(階層、周辺による) | ・自他ともに生活音が気になる |
・防犯性が高い | ・近隣トラブルが発生しやすい |
・建物の管理、清掃の手間が少ない | ・月額の固定費が割高 |
・設備が充実している | ・日常の移動距離が長い |
どうしても選べない人の共通点と対処法
何十年もの間「戸建てVSマンション」の話題に決着が付かないのは、「どちらも一長一短で甲乙つけがたいから」に他なりません。
ここまでの解説でお気付きかもしれませんが、戸建てとマンションの違いは明確ですが、両立はできないものばかりなのです。
このような前提があるにも関わらず、なかなか答えが出ない人には以下の共通点があります。
●希望条件が曖昧
●無い物ねだり
最後に、どうしても決めかねる方に向けて対処法をご紹介します。
判断基準を決める簡単5ステップ
希望条件が曖昧なままで家探しをするのは、コンパスを持たずに航海をするようなものです。裏を返すと「条件が明確であれば迷わない」ということでもあります。
以下の5ステップで、自分が希望する住宅像が見え、迷いも減るはずです。
⒈譲れない条件を書き出す
⒉1を優先順位の高い順に並べ替える
⒊100点満点で各項目に配点
⒋合格ラインを決める
⒌検討する物件を当てはめて採点をする
ぜひ試してみて下さい。
判断に迷ったらプロに相談するのもおすすめ
もっと手っ取り早い方法として、プロの不動産屋に相談するのも良いでしょう。
プロに相談する最大のメリットは、なんといっても「膨大な過去データ」を持っていることです。もちろんそれは物件のデータだけではなく、過去に対応したお客さんについて「どんな属性の人が、どんな条件で、どんな物件を、どんな理由で選んだか?」という生の情報も含まれるので、このような情報は大いに参考になるでしょう。
とはいえ、彼らも自分の目標数字を追っている身なので、こちらのことよりも自分の売上を優先する担当者も少数ながらいます。
プロに相談する場合は、複数人に相談して情報の整合性を取ると良いでしょう。
以上、「戸建てVSマンション」をテーマに様々な角度から比較、解説しました。
最後に夢がないことを言うようで心苦しいですが、家選びにおいて「100%理想に合った家」というものは存在しません。
最も大事なことは、そういった現実を知りつつも「知識を付けてより自分の希望に合致した家を選ぶ」ということです。
ブログ:
皆の笑顔に我が笑顔あり
徳本 友一郎
- 所属会社:
- 株式会社スタイルシステム
- 所属会社のWEBSITE:
- http://www.style-system.net
- 保有資格:
- CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
- 著書:
- 初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント
おすすめ記事
-
23.06.28家を建てる・家づくり
-
23.06.28家を建てる・家づくり
-
23.05.11家を建てる・家づくり
-
23.05.07家を建てる・家づくり
-
23.05.05家を建てる・家づくり
-
23.05.02家を建てる・家づくり