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家・住宅購入コラム

マンション選びで失敗しないためのチェックポイントと注意点

生活利便性の高さや設備の充実度、住み替えのしやすさなど、多くの魅力がある分譲マンション。初めてのマイホームとして新築マンションを購入する人だけでなく、中古マンションを購入して新築のようにリフォームしたり、ライフスタイルの変化により戸建てからマンションに引っ越したりと、さまざまな目的で購入されています。

しかし、ひとくちにマンションと言っても、建物の大きさや築年数、設備や周辺環境など、選ぶ際に検討すべきポイントは多岐にわたり、正しい選び方がわからないという声が多く聞かれます。

そこで本記事では、マンション選びの際に着目したいポイントを徹底的に解説します。数多くあるマンションを比較する際の注意点や、マンション選びの要とも言える不動産会社選びのコツを知っておくだけでも、マンション購入で失敗する可能性がぐっと低くなります。

 

1.マンション選びでの着目ポイント

 

購入するマンションを選ぶ際に着目すべきポイントはいくつもありますが、ここでは長く快適に暮らし続けるために、必ずチェックしておきたい下記の7つについて見ていきます。

1)総戸数
2)築年数
3)物件価格
4)間取り
5)管理体制
6)周辺環境
7)災害リスク

それぞれ詳しく解説していくので、物件比較の参考にしてください。

 

1)総戸数

 
マンション選びにおいて、どれくらいの規模のマンションに暮らすかは、判断が分かれる部分です。

 

(1)小中規模マンション

小中規模マンションは、一戸建ての多い住宅街に建っていることが多く、人の出入りが少なく静かという点が魅力。戸数が多いことから管理組合の意見がまとまりにくい大規模マンションとは異なり、改修工事や管理規約の変更が必要になった際に、入居者同士の衝突が少なく済む点はメリットと言えるでしょう。

一方デメリットは、24時間体制で管理人が常駐している大型マンションとは異なり、管理人の勤務時間が短かったり、マンションの管理のために毎月支払う管理費・修繕積立金の負担が大きかったりということが考えられます。

 

(2)大規模マンション

大規模マンションは小中規模のマンションと比較して、管理人が常駐または勤務時間が長いほか、防犯カメラやオートロックといった防犯設備が充実しているという安心感があります。また、大手企業による施工・分譲のマンションが多いことから、エントランスや広場などの共用部分が充実しているという魅力もあります。

小中規模のマンションと比較すると、人の出入りが多くがやがやとした印象ですが、ファミリー世帯・新婚夫婦・高齢者などさまざまな世代が入居しているため、明るく活発な雰囲気があります。

 

(3)タワーマンション

さらに共用施設が充実したマンションを選びたい場合は、タワーマンションを検討してみるといいでしょう。タワーマンションは、建物内に商業施設がある場合も。低層階にスーパーや飲食店、ドラッグストアや保育園といった施設・店舗が入っているマンションであれば、建物を出なくても生活に困りません。

高層階は見晴らしもよく人気ですが、災害時の避難経路などについては、入居前に確認しておくと安心です。

 

2)築年数

マンションの築年数を考えるうえで、知っておきたい基準が「新耐震基準」です。新耐震基準とは、建物を建築する際に、必ず満たさなくてはならないと定められた建物の耐震性能のことを指します。
かつて適用されていた「旧耐震基準」から、さらに厳しい基準に改定されたのが「新耐震基準」で、1981年6月以降に建築された建物に対して適用されています。

旧耐震基準の建物であっても、耐震診断により「新耐震基準に適合している」と判断されているマンションもあるため、旧耐震基準の建物だからといって、必ずしも危険ということではありません。

しかし、数年で引っ越すことも多い賃貸マンションとは異なり、分譲マンションは10年20年と長く暮らすことがほとんど。地震大国と呼ばれる日本において、耐震性は決して無視できないため、多少古いマンションであっても、新耐震基準に適合した物件を選びたいところです。

 

3)物件価格

マンションを購入する際、住宅ローンで借り入れる資金のほかに、頭金や不動産会社に支払う手数料、登記費用などをあらかじめ準備しておく必要があります。

自分の収入で毎月いくらの返済が可能かだけでなく、将来起こるライフイベントでの出費や、万が一収入が減少した場合の生活防衛費なども考慮して、購入するマンションの価格を決めるようにしましょう。

なお、マンションを購入する際に必要な費用は、主に以下のものがあります。

申込証拠金(新築マンションの場合) 不動産会社に支払う手数料
仲介手数料(中古マンションの場合 売買契約が締結した際に、不動産会社に支払う報酬
手付金 売買契約締結時に売主に対して支払うお金
印紙代 売買契約書や工事請負契約書、住宅ローン契約時の消費賃借契約書に貼る収入印紙の代金
登記費用 登記費用所有権移転登記や、住宅ローンを組む際にマンションにする抵当権設定登記にかかる費用(登録免許税)。司法書士に依頼する場合は依頼料も発生する

上記はマンションの購入時にかかる費用の一部です。さらにマンションに居住し続けると、固定資産税や都市計画税、修繕積立金といったランニングコストも発生します。こうした定期的な出費も考慮したうえで、購入する物件の価格を決めましょう。

 

4)管理状況

マンションの管理状況によって、安心かつ快適に生活できるかだけでなく、建物の美観や耐久性も大きく変わってきます。

しっかりと管理されているマンションは、長期修繕計画により、定期的な修繕や改修が行われています。不動産会社や貸主に依頼すれば、長期修繕契約や管理組合総会の議事録を見せてもらえることもあるため、確認しておくと安心です。

それが難しい場合は、内覧の際に共用部をしっかりチェックしておきましょう。エントランスや廊下の電気が切れたままになっていないか、ゴミ捨て場や植木はきれいに保たれているか、自転車置き場は整頓されているかを確認するだけでも、管理が行き届いているかを判断する材料になります。

 

5)周辺環境

一般的に、マンションは戸建て住宅と比較して、駅前や商業施設といった生活利便性の高いエリアに建てられることが多いとされています。特に電車通勤が必要な場合や、子供を電車で通学させることを検討している場合には、マンションから駅までの距離だけでなく、目的地までの乗り換え回数や所要時間にも気を配るといいでしょう。

ただし、駅に近くなるほどマンションの価格も高騰する傾向にあり、またマンション周辺の緑も少なくなってしまいます。物件価格を抑えたい場合や、緑がある環境で生活したい場合には、駅から少し離れた場所にあるマンションのほうが向いているかもしれません。

駅から離れた場所のマンションを検討する際には、近くにバス停がある場所を選ぶと、生活の利便性が上がるためおすすめです。

 

6)災害リスク

住み心地のよさや価格ばかりに意識が向きがちですが、自然災害が多発する日本においては、災害リスクも考慮したうえで、購入するマンションを検討する必要があります。

各自治体では「ハザードマップ」と呼ばれる、自然災害のリスクを記載した地図を公開しています。記載されている自然災害の種類は、洪水(河川の氾濫によるもの)・内水(都市型洪水)・地震・津波など、地域ごとに異なります。役所を訪問したりホームページにアクセスしたりすることで、一般の人でも無料で閲覧が可能です。

また、ハザードマップには、万が一災害が発生した際の避難経路も記載されています。物件を選ぶ段階でハザードマップを確認しておくことで、その地域での生活をリアルに想像することができます。

売買契約の前には、仲介に入る不動産会社からも災害リスクに関する説明がありますが、災害に関する情報は、自身でもあらかじめ集めておくことをおすすめします。

 

2.マンションを探す際の不動産会社選びのポイント

 

理想の住まいや希望条件にあったマンションを購入するためには、自分で情報収集をしたり、比較検討したりするだけでなく、プロの手を正しく活用することも大切なポイントです。

マンション選びで成功するためには、信頼できる不動産会社と出会う必要があります。不動産会社を選ぶ際に着目したいのは、「情報の量と質」・「サービスの内容」・「担当者の人柄や提案力」の3つ。

また、新築マンションを購入する場合と中古マンションを購入する場合では、窓口の不動産会社が異なるという点も覚えておきましょう。

 

1)新築マンションと中古マンションの窓口の違い

 
新築マンションと中古マンションでは、異なるタイプの不動産会社が窓口になります。
新築マンションを販売しているのは、マンションの売主であるディベロッパー(不動産開発や土地開発をしている業者)か、そのディベロッパーから販売を委託された代理店のみです。

一方で中古マンションの場合は、複数物件を仲介する不動産会社が窓口で、物件を探してほしいと依頼してきた人に対して、条件にあったマンションを紹介します。つまり、中古マンションを購入する場合のほうが、仲介に入る不動産会社の力量が試されるということになります。

 

2)不動産会社選び 3つのポイント

 

(1)情報の量と質

マンションの購入希望者から依頼を受けた不動産会社は、「レインズ」と呼ばれる、全国の不動産の売買情報を閲覧できるサイトで物件探しをします。レインズは登録している不動産会社であれば、どの業者でもアクセスできるため、閲覧できる情報量に大きな差はありません。

しかしその膨大な情報の中から、依頼者の希望する条件にあった物件をどれだけピックアップできるかだけでなく、割安な物件の情報や相場観など、依頼者にとって得になる情報を提供できるかは、不動産会社の力量にかかっています。

いくつか物件の紹介を受けて、ほかの不動産会社にはない方法を提供してくれたり、自分にぴったりな物件を提案してくれたりする不動産会社であれば、納得のいくマンションを購入できる可能性が高いということを覚えておきましょう。

 

(2)サービスの内容

中古マンションの購入後、契約時には確認できなかった瑕疵(欠陥)が入居してから見つかるケースは少なくありません。そのため、入居後のアフターサービスの内容や費用もチェックしておくようにしましょう。

建物や設備に関する保証だけでなく、定期的に行うアフターメンテナンスがついていると安心です。

売却するときの資産価値まで考慮して進めるのが、マンション購入で失敗しないポイントです。こうした瑕疵に対する保証やアフターメンテナンスは、マンションの状態や耐久性に直接影響するため、不用意に資産価値を下げないためにも重要です。

 

(3)担当者の人柄や提案力

不動産の購入は、人生のうちに何度も経験することではなく、さらに一度に多くの資金が動きます。そのため、物件を提案してくれる営業担当者が、依頼者の希望や理想に対して親身に向き合ってくれる人がどうかは、マンション購入において重要な鍵と言えます。

見極めるポイントはさまざまですが、特に注目したいのが「レスポンスの早さ」と「デメリットも教えてくれるか」の2つです。

不動産会社に「マンションを探している」と問い合わせをした際、対応のいい不動産会社であれば、すぐに電話やメールで案内をしてもらえます。購入する物件の質と関係ないように感じるかもしれませんが、マンションの売買市場は常に変化しているため、「昨日募集に出ていたのに、今日になったら募集が打ち切られていた」というのはよくある話です。また、入居後に発生したトラブルについても、対応が遅れると被害や損失が拡大する可能性も否定できません。

また、検討している物件のリスクやデメリットも、正直に説明してくれる業者を選ぶのも、マンション購入で失敗しないためには必要なポイント。メリットばかりを話す不動産会社は、とにかく早く契約してもらうことや、会社の利益だけを優先している可能性があります。逆にデメリットを教えてくれる営業担当者であれば、不安点や疑問点にも真摯に対応してもらえます。

 

マンション選びは不動産会社選びから!ポイントを押さえてお得にマンションを購入しよう

 

マンション購入で失敗しないためには、マンションや住みたい地域に関しての情報収集も大切ですが、まずは依頼する不動産会社選びに力を入れることをおすすめします。

特に中古マンションの場合は、物件を紹介する不動産会社の良し悪しで、購入できる物件の質だけでなく、入居後のトラブル対応やメンテナンスの質も大きく変わってきます。

中古マンションを購入する場合は、マンション売買専門の不動産会社に依頼するのがおすすめ。なかでも希望する地域に特化した業者であれば、物件周辺の生活環境や地域の特色も考慮して提案してもらえるため、希望どおりのマンションが見つかる可能性が高まります。

不動産会社や営業担当者の質、物件の情報量やサービスを比較するためにも、最初のうちは複数の不動産会社に問い合わせるようにし、顧客に寄り添った提案をしてくれる不動産会社を探すようにしましょう。

徳本 友一郎

所属会社:
株式会社スタイルシステム
所属会社のWEBSITE:
http://www.style-system.net
保有資格:
CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
著書:
初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント

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