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家・住宅購入コラム

徹底比較!戸建てとマンションどっちを買うべき?

新しく住居を購入する際に、多くの人が迷うのが、「戸建てにすべきかマンションにすべきか」ということです。
 
以前までは「夢のマイホームといえば一戸建て」というイメージが根強かった住宅業界ですが、近年ではマンションに対しての需要も高まってきており、自分ひとりではなかなか決められないという人も多いでしょう。
 
本記事ではそんな人のために、戸建てとマンションをあらゆる角度から徹底的に比較します。生活のしやすさだけでなく、購入時にかかる費用やランニングコストの面からも解説します。
 

1.戸建てとマンションを徹底比較!~住み心地編~

 

 
一度購入したら、20年30年と長きにわたって住むことになるマイホーム。なんといっても住み心地がよくなければ、購入しても理想的な暮らしは送れません。
 
住み心地は多くの要素が複合的に関係して決まりますが、ここでは4つの着目ポイントをピックアップして比較します。
 

1)防犯性

 
防犯性の高さという観点では、戸建てよりもマンションのほうが安心して暮らせる環境だと言えます。理由は、マンションは防犯対策に有効な設備を導入しやすいためです。
 
オートロックや防犯カメラ、モニター付インターホンがついていたり、管理人が24時間在中していたりと、外出している時間が長い人でも、安心して家を空けられる設備が整っているのがマンションの魅力です。
 
一方戸建ての場合は、1階に玄関や窓があったり、通りから家の中の様子が見えたりと、空き巣に入られるリスクが高い点には注意が必要。防犯性の高い窓ガラスを使用したり、防犯カメラを設置したりと、マンション以上に安全性を意識した防犯対策をすることをおすすめします。
 

2)立地

 
一般的に、マンションは駅の近くに建てられることが多く、駅から離れるにつれて、戸建ての数が増えていきます。戸建ての場合は駅から徒歩15分を超える物件も珍しくありませんが、マンションの場合は徒歩10分以内であることがほとんど。そのため、戸建てよりもマンションのほうが立地がいいと言えるでしょう。
 
戸建てを購入する場合は、日常的に車や自転車を使用したり、近くにバス停がある土地を選んだりと、交通の利便性を上げる工夫が必要になります。
 

3)防災性

 
地震や台風といった自然災害に、たびたび見舞われる日本において、戸建てとマンションではどちらが安心して暮らせるかは、重要な判断ポイントになります。
 
一般的に戸建ては木造、マンションは(鉄骨)鉄筋コンクリート造であることが多く、頑丈な素材で建てられるマンションのほうが、耐震性が高いといえます。
 
しかし、戸建てが地震に弱いかというと、そうとも限りません。
建物の耐震性には、「耐震等級」という指標があり、耐震性に応じて1から3までの3段階に分けられます。以前までは、建築基準法が定める耐震性能をギリギリ満たす「耐震等級1」の住宅が主流でしたが、近年では消防署や病院なども適合する「耐震等級3」を採用する一般の戸建ても増えてきています。地震が頻発する地域においては、耐震等級の高い戸建てを選択することで、大きな地震に対する不安を軽くできます。
 
ただし、築年数が古い戸建てに関しては、現在よりも耐震性能に対する規制が弱い「旧耐震基準」で建てられたものも存在するため注意が必要です。
 

4)設備

 
快適な生活を実現するためには、いかに設備が充実しているかも大きなポイント。
ディスポーザー(生ごみをシンク下で粉砕する装置)や、浴室をあたためたり洗濯物を乾燥したりできる浴室乾燥機、床暖房などは特に人気で、憧れのマイホームに導入したいと考える人も多くいます。
 
しかし専有部分への設備は、新築の場合は有料オプションで追加できることも多いため、戸建てとマンションのどちらが充実しているかは、一概には判断できません。
 
とはいえ、マンションは集合住宅であることから、それらの設備を個人で設置するよりも、安く導入できるというメリットがあります。また、専有部以外にも、マンションの入居者が共同で使用できるゲストルームや、24時間ゴミ出しOKなゴミステーション、無料インターネットが提供されている場合もあるのは魅力でしょう。
 
一方戸建ての場合は、敷地内にどんな設備を導入するか、すべて自分で決められます。庭でガーデニングやDIYをしてみたり、家の中に防音室やワインセラーを作ったりすることも可能。マンションでは管理規約に則ったうえで行わなくてはならない工事も、戸建てであれば自分の判断で行えます。
 

2.戸建てとマンションを徹底比較!~費用と税金編~

 

 
マイホームを購入するにあたって、必ず直面するのがお金の問題。戸建てもマンションも購入するためには何千万円という費用が必要になり、さらに税金や維持費、光熱費といった出費がともないます。
 
戸建てとマンションでは、支出の面でどのような違いがあるのか、どちらがお得なのかを比較していきましょう。
 

1)購入価格

 
まず気になるのは、戸建てとマンションではどちらが安く購入できるか、ということではないでしょうか。
 
住宅ローン「フラット35」を提供する、住宅金融支援機構のデータをもとに、戸建てとマンションの購入価格の相場をまとめました。
 

建物種別 1戸あたりの平均価格
新築分譲マンション 4,528.5万円
中古マンション 3,025.8万円
新築注文住宅 3,572.4万円*
土地付注文住宅 4,455.5万円*
建売住宅 3,604.9万円
中古戸建住宅 2,614.4万円

 
*土地取得費も含む
(参照:一般社団法人住宅金融支援機構『2021年度フラット35利用者調査』https://www.jhf.go.jp/files/400361622.pdf
 
上記のデータを見てわかるように、戸建てとマンションの間には、購入価格による大きな開きはなく、新築か中古かという点が大きく影響します。
 

2)資産価値

 
次に、戸建てとマンションを、資産価値という側面から比較してみます。資産価値とは、中古になったときに市場で取引される際の価格です。
 
不動産の資産価値を考える際は、建物と土地のそれぞれに対して評価を行い、最終的に総合的に判断することになります。
 

(1)建物の資産価値

建物の資産価値を左右するのは、構造の違いによる耐久性です。
 
一般的に、戸建ては木造、マンションは鉄骨鉄筋コンクリート造または鉄筋コンクリート造です。国税庁が定めている建物の耐用年数は、戸建ての場合で22年、マンションの場合で47年と、約2倍の開きがあります。
(参考:国税庁『主な減価償却資産の耐用年数表』https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf
 
マンションのほうが造りが頑丈で長持ちすることから、戸建てよりも資産価値が高いということです。
 
ただし、上記の耐用年数は、建物にかかる固定資産税の税額を算出するために用いるもので、建物の寿命とは一致しません。築年数が耐用年数を経過した建物には居住できない、というわけではないということを知っておきましょう。
 

(2)土地の資産価値

土地の資産価値を左右するのは、そのエリアの需要が高いかどうかという点です。生活の利便性が高く、公共交通機関が発達している都市部や主要沿線の駅といったエリアは、常に需要が高い状態のため、高い資産価値を持続できます。
 
このような土地は価格も高いため、戸建てを建てるための土地として活用することは難しく、多くの場合でマンション用地として取引されます。つまり、土地の資産価値という側面では、戸建てよりもマンションのほうが高いということです。
 

(3)長く住むなら戸建てのほうが資産価値が高い

マンションのほうが建物の資産価値が高く、土地も高値で取引されるのであれば、総合的な資産価値もマンションに軍配が上がるように思えます。
 
しかし、すでに解説したとおり、戸建てとマンションでは資産価値が持続する年数が大きく異なります。つまり、売却時点での築年数によっては、マンションよりも戸建てのほうが、総合的な資産価値が高いと判断される場合もあるのです。
 
例えば、同じ時期に建てられた戸建てとマンションを、築30年のタイミングで売却するとします。
 
戸建ては耐用年数が22年とされているため、売却時点での建物の資産価値はゼロ。一方マンションは、耐用年数の経過まで17年残っています。この場合、建物と土地の両方に資産価値が残っているマンションのほうが、総合的な資産価値も高いと判断されます。
 
ところが築50年のタイミングで売却する場合は、戸建てもマンションも建物の資産価値がゼロになっているため、土地の資産価値のみで判断されます。マンションのほうが立地の面で価値が高いと解説しましたが、戸建てはマンションと比較して、登記上の面積が圧倒的に広いことから、戸建てのほうが総合的な資産価値も高いと評価される可能性が高まるのです。
 
したがって、20年ほどでの売却を視野に入れている場合はマンション、50〜60年以上長く暮らすことを前提とするのであれば、戸建てのほうが資産価値が高いということです。
 

3)維持・管理費

 
不動産を購入する際は、売買価格だけでなく維持費にも目を向ける必要があります。
 
まず、マンションについては、「管理費」や「修繕積立金」と呼ばれる費用が発生します。これらはマンションの定期的な修繕や補修、大規模改修のために積み立てておくもので、毎月一定の金額が発生します。
 
一方戸建ての場合、管理費や修繕積立金の支払いはなく、定期点検・修繕の有無や頻度は、所有者自身が決めます。定期点検や修繕は、必ずしなくてはならないというわけではありませんが、放置していると建物の耐久性が低下する原因にもなるため、点検費や修繕費のまとまった支払いに対応できるよう、日頃から準備しておくことが大切です。
 

4)税金(固定資産税)

 
不動産を所有しているだけで発生する固定資産税ですが、戸建てとマンションでは土地に対する税額が大きく異なります。
 
マンションの場合は、マンションが建っている敷地全体の面積を、専有面積(室内の面積)により按分した部分が、土地の区分所有になります。固定資産税は所有している土地の面積をもとに算出されるため、所有面積の広い戸建てのほうが、固定資産税の税額は高くなります。
しかし一方で、固定資産税の軽減税率も、面積をもとにして算出されます。つまり、登記上の面積が広いほうが軽減税率の恩恵を受けやすいのです。
 
建物の場合は、マンションのほうが固定資産税が高くなる傾向にあります。理由は、マンションのほうが戸建てよりも減価償却期間(耐用年数)が長いため。減価償却期間が長いと、固定資産税を算出する際の不動産評価額が高くなり、結果的に固定資産税も高くなるのです。
 
上記のとおり、土地と建物にかかる固定資産税の税額という観点では、戸建てよりもマンションのほうが費用負担が少なくなる可能性が高いと言えます。
 

5)光熱費

 
毎月かかる光熱費についても、戸建てとマンションの違いを知っておきたいところ。
 
光熱費は空調効率に大きく左右されます。戸建ては面積が広いだけでなく、マンションと比較してたくさんの窓を設置する家庭が多いことから、空調効率が下がる傾向にあります。それに対してマンションの場合は、専有面積が小さく、気密性や断熱性の高い構造で建てられるため、光熱費を抑えられる点がメリットです。
 
空調のほかにも、戸建ての場合は部屋数が多いため、部屋ごとにエアコンや照明を設置する必要があり、そのぶん電気代がかさむという側面があります。
 
戸建てで光熱費を抑えるためには、「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」と呼ばれる、家庭で使用するエネルギーを、太陽光発電などでまかなえる性能を持った住宅を選択する方法もあります。また、家を建てる際に、気密性や断熱材にこだわることで、空調効率をアップすることも可能です。
 

戸建てとマンションで迷ったら不動産会社に相談しよう

 

 
戸建てとマンションはそれぞれにメリットとデメリットがあり、どちらを買えば失敗しないか、どちらを買えばお得かということは一概には言えません。
 
マイホームの選び方は、その人のライフスタイルや家族構成、収入や資産の状況によっても異なります。いざ探し始めると、自分が本当に欲しいマイホームのイメージが、わからなくなってしまうこともあるでしょう。
 
そうした悩みを払拭し、理想の住まいを手に入れるには、不動産のプロの力を借りることをおすすめします。
 
不動産会社のなかには、住宅の売買を専門に扱っている業者もあり、家を探している人の理想や要望を上手に汲み取って、ぴったりの住まいを提案してもらえます。
 
まだ具体的なマイホームのイメージができていなくても、相談するなかで少しずつ自分の理想を確立できるというのが、不動産会社の無料相談を利用するメリット。
 
人生で一番大きな買い物と言われるほど、マイホームの購入には大きな決断がともないます。最初のうちは複数の不動産会社やハウスメーカーに相談し、戸建てとマンションのどちらにするか、徐々に決めていくようにしましょう。

平野 直子

所属会社:
FPオフィスLife&Financial Clinic
所属会社のWEBSITE:
http://www.mylifeplan.net
保有資格:
CFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士、 貸金業務取扱主任者資格、住宅ローンアドバイザー、福祉住環境コーディネーター2級
著書:
30代夫婦が働きながら4000万円の資産をつくる考え方・投資の仕方
All about:
「夫婦FP・平野泰嗣と直子が応援!ふたりで学ぶマネー術」担当ガイド

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