ファイナンシャルプランナーの無料相談ってどうなの?不動産購入時のライフプラン作成のポイント
不動産購入前のライフプランを作成する際に、ファイナンシャルプランナーによる無料相談の利用を検討している人も多いのではないでしょうか。マイホームを購入する際には多くの費用が必要になるため、出費を抑えるという意味では、無料相談を活用する利点があると言えます。
しかし一方で、無料と聞くと「何か怪しいことがあるのでは?」と不安を抱く人がいるのも事実です。
そこで本記事では、ファイナンシャルプランナーに相談する際にかかる費用の相場と無料相談が成り立つカラクリ、ライフプラン作成時に失敗しないためのファイナンシャルプランナーの活用法について解説します。
ファイナンシャルプランナーとは?
ファイナンシャルプランナーとは、保険や税金、年金などのお金に関する幅広い知識を持ち、ライフプランの設計を行うお金の専門家のことです。相談者のお金に関するニーズや問題点を整理し、理想の将来を実現するための最適なライフプランの提案をしています。
ファイナンシャルプランナーには、住宅ローン探しや老後資金に関すること、保険の見直しなどを相談することが可能です。
ここでは、ファイナンシャルプランナーについて以下の2つを解説します。
・ライフプランの作成がメイン
・ファイナンシャルプランナーの資格の種類
ライフプランの作成がメイン
ファイナンシャルプランナーは、ライフプランの作成がメイン業務です。相談者の家計状況やライフステージ、家族構成や加入している保険など、お金に関するさまざまなデータを踏まえて作成しています。
ライフプランを作成することで、今後起こりうるライフイベントや、そのイベントのためにどのくらいの資金が必要になるのかが明確になります。現在の収支状況の把握と、将来の資産状況の変化をもとに、住宅ローンの借入額や毎月の返済額などのアドバイスを受けることも可能です。
ファイナンシャルプランナーの資格の種類
ファイナンシャルプランナーには、資格制度があり、国家資格と民間資格に分かれています。国家資格となるのが「FP技能士」で、試験の実施団体は、日本FP協会と金融財政事情研究会(きんざい)の2つです。両機関が実施するファイナンシャル・プランニング技能検定試験に合格すれば、有効期限がなく一生ものの資格を保有することになります。
一方の民間資格は、「AFP」と「CFP」です。試験の実施団体は日本FP協会で、AFPとCFPには期限があります。資格を更新するには、一定の継続講習を受けなければなりません。言い換えれば、民間資格保有者は常に最新情報を持っていることになります。
国家資格 | 民間資格 | |
---|---|---|
資格名称 | FP技能士(1~3級) | CFP・AFP |
実施機関 | 日本FP協会 金融財政事情研究会 |
日本FP協会 |
資格更新 | なし | 2年ごと |
なお、民間資格であるCFPやAFPは、国家資格であるFP技能士の2級に合格している必要があります。また、CFPはAFPの上位資格であるため、先にAFPに合格してからでないと取得できません。つまり、資格取得の難しさは下記のとおりです。
【資格の難易度】
・FP技能士1級またはCFP ・AFP ・FP技能士2級 ・FP技能士3級 |
ファイナンシャルプランナーへの相談料が無料になるのはどんなケース?
ファイナンシャルプランナーへの相談料については、「有料のほうが質がいい」「同じ相談内容なら無料のほうがお得」というイメージを持たれることもありますが、必ずしもそうは言い切れません。
その理由は、ファイナンシャルプランナーにも種類があり、相談料を無料にできる場合とできない場合があるためです。
ここではファイナンシャルプランナーに相談する際にかかる費用の相場と、ファイナンシャルプランナーの種類について見ていきます。
ファイナンシャルプランナーの相談費用の相場
まずはファイナンシャルプランナーの有料相談を利用する場合の相場について見ていきましょう。
ファイナンシャルプランナーが相談を有料で受ける場合、料金体系はファイナンシャルプランナーが独自に設定することが可能です。
企業で契約する場合や、個人でも定期的にライフプランの見直しを行いたい場合は、月額・年額による顧問契約を締結することもあります。ですが、不動産購入のための資金計画を目的としたライフプランの作成の場合は、「1時間あたりいくら」という時間あたりの料金を目安にしましょう。
日本FP協会によると、協会が認定したファイナンシャルプランナーが設定している1時間あたりの相談料は、5,000円以上10,000円未満が47.3%と最も多く、次に多いのが10,000円以上20,000円未満の33.5%となっています。
なお、この料金はあくまでも相談のみの料金で、提案書などを別途作成する場合は追加料金がかかるのが一般的です。
(参照:日本FP協会東京支部『相談料の目安(有料相談)』https://www.jafp.or.jp/shibu/tokyo/seikatsu/aboutfp/fee/)
ファイナンシャルプランナーの種類
ライフプランの作成には、1時間あたり5,000~20,000円の相談料がかかることがわかりました。この相談料が有料なのか無料なのかは、相談するファイナンシャルプランナーの種類が大きく関係してきます。
ファイナンシャルプランナーには、大きく分けて「独立系」と「所属系(企業系)」の2種類があります。そしてライフプランを作成する際の相談料は、「独立系」が有料、「所属系(企業系)」が無料であるケースが多く見られます。
それぞれ相談するメリットとデメリットがあるため、事前に理解したうえで、どちらのタイプのファイナンシャルプランナーに相談するかを決めるといいでしょう。
ファイナンシャルプランナーの無料相談でできること
ファイナンシャルプランナーの無料相談でできることは、主に以下の4つです。
・保険の提案
・家計の現状分析
・ライフプランの作成
・老後資金の作り方の相談
保険の提案
保険の加入や保険料、払込期間といった保険に関する相談や提案が可能です。「現在加入している保険の内容がわからない」「保険に加入しすぎている気がする」といった悩みも、無料で相談できます。
家計の現状分析
収入や支出、貯蓄を確認し、家計の収支バランスを分析してくれます。相談者の現状を把握することで、理想の老後や目標が達成できるかなどの確認が可能です。家計の現状を把握したうえで、無駄や無理がないかも検証してくれるため、自分で現状分析するよりも安心できます。
ライフプランの作成
現状の収支のバランスや希望の老後の過ごし方をヒアリングしたうえで、相談者と話し合いながら、ライフプランを作成してくれます。
老後資金の作り方の相談
「老後の生活費はどのくらいかかるのか」「老後の生活資金はどのように準備するべきか」といった悩みを抱えている人は、少なくありません。このような相談内容にあわせて、老後に必要な資金額を提示したり、実際に資金を準備する方法をアドバイスしたりしてくれます。
独立系
独立系のファイナンシャルプランナーは、個人やファイナンシャルプランニング事務所を設立することで活動します。
独立系のファイナンシャルプランナーに相談するメリットは、中立な立場からのアドバイスを受けられる点。
企業に所属しているファイナンシャルプランナーは、自社の保険や住宅ローンを契約してもらうというノルマがあるため、受けられるアドバイスに偏りが生じる可能性があります。その点、独立系ファイナンシャルプランナーの場合はノルマがないため、営業をかけられることなく親身に相談に乗ってもらえます。
さらに異動や転勤もないため、「一番近いお金の相談役」として末永いお付き合いができるという点が魅力です。
一方でデメリットは、ほとんどの場合で相談料がかかるという点が挙げられます。
独立系のファイナンシャルプランナーは「相談」を主軸に置いており、自社の保険や住宅ローンを契約してもらうことを目的としていません。そのぶん、相談料がファイナンシャルプランナーとしての利益になるため、無料相談を受けたい場合の相談先としては不向きと言えます。
しかし、中立な立場からの意見を聞きながら資金計画を立てたいという人にとっては、独立系のファイナンシャルプランナーはとても心強い存在であることは間違いありません。
所属系(企業系)
所属系(企業系)のファイナンシャルプランナーは、保険や銀行、証券会社や住宅メーカーに勤めながら活動しているファイナンシャルプランナーのことを指します。
所属系のファイナンシャルプランナーのメリットは、無料相談を利用できる点にあります。ライフプランの作成はほとんどの人が初めての経験のため、どこに相談したらいいかわからないもの。特に不動産の購入を検討している人は、ハウスメーカーに住宅の相談に行った際に、ライフプランや資金計画の相談を同時にするというケースも少なくありません。
複数の不動産会社に問い合わせている最初のうちは、無料相談を活用することで、そのハウスメーカーや不動産会社の特色や強みを知るきっかけになったり、資金計画を立てる際の全体像をイメージできたりするでしょう。
一方デメリットは、無料相談の向こうに「自社商品の販売」という目的があるという点。
企業が無料相談を設けているのは、無料相談を通して自社商品を購入・契約してもらうことが目的です。そのため、ファイナンシャルプランナーからのアドバイスも「新しい保険に乗り換えた方がいい」「こっちの住宅ローンのほうが損をしない」といった偏ったものになる傾向があるのです。
不動産購入のためのライフプランは、1つの金融商品に左右されるべきものではなく、ほかのライフイベントも考慮してトータルで考えることが大切です。そのため「とても魅力的な商品だけど、本当に自分に適した商品だろうか」と考える力が必要であるということを覚えておきましょう。
ファイナンシャルプランナーへの相談方法
ファイナンシャルプランナーにライフプランや住宅ローンの相談をする際、必ず準備しなくてはいけない書類というものはありません。しかし、自分にあったライフプランを作成するためには、ファイナンシャルプランナーに相談する前にある程度準備をしておくのをおすすめします。
ファイナンシャルプランナーに相談してライフプランを作成する流れと、あらかじめ準備しておくべき書類を、購入する物件が決まっている場合とそうでない場合に分けて見ていきましょう。
ファイナンシャルプランナーにライフプランの相談をする際、下記のような流れで進めるとスムーズです。
1)家族構成や家計の状況、相談内容をまとめる
2)家計簿や給与明細などの書類を集めておく
3)相談するファイナンシャルプランナーを探す
4)ファイナンシャルプランナーに相談する
5)ライフプラン表を作成してもらい資金計画を立てる
1つずつ詳しく解説します。
家族構成や家計の状況、相談内容をまとめる
まずは、ファイナンシャルプランナーに相談したい内容をまとめておきましょう。
一括りにファイナンシャルプランナーと言ってもそれぞれ得意分野があり、相談内容をあらかじめまとめておくことで、自分にあったライフプランを作成してもらえます。
不動産を購入したいと考えているのであれば、購入したい時期や不動産の種類(戸建て・マンション)などを大まかに考えておくといいでしょう。
また、不動産の購入を見据えたライフプランの作成の場合は、ほかにどのようなライフイベントを想定しているかも重要な要素です。結婚や出産、車の購入なども検討しているようであれば、家族で話し合ったうえでファイナンシャルプランナーに相談すると、より具体的なアドバイスを受けられます。
相談するファイナンシャルプランナーを探す
相談内容が固まったら、相談するファイナンシャルプランナーを探します。
上記で触れたとおり、ファイナンシャルプランナーによって得意分野が異なるため、不動産購入のためのライフプラン作成の場合は、住宅ローンを得意とするファイナンシャルプランナーを選ぶといいでしょう。
家計簿や給与明細などの書類を集めておく
ファイナンシャルプランナーにライフプランの作成依頼をする際には、下記のような書類をあらかじめ準備しておきましょう。
・世帯収入:源泉徴収票、または確定申告書
・家賃や生活費:家計簿、ない場合は銀行の通帳・クレジットカードの明細等
・預貯金額:銀行預金・財形貯蓄・小規模企業共済などの貯蓄状況がわかるもの
・保険内容:加入している保険の証券、ない場合は再発行を依頼するか、契約内容が記載されている書類
・投資内容:投資信託・株・不動産投資等を行っている場合は、時価総額が分かるもの、または投資開始時の控え
相談先のファイナンシャルプランナーによって使用する書類は異なるため、相談予約をした際に確認しておくと安心です。
ファイナンシャルプランナーに相談する
ファイナンシャルプランナーからのヒアリングでは、家族構成や家計の現状を把握するだけでなく、今後どのようなライフイベントを想定しているのか、どのような点に不安を感じているかを詳細に確認していきます。
多くの場合で1回あたり1~2時間程度、トータルで1~3回ほど相談するのが一般的です。不動産購入時点でのライフプランのみ作成したい場合は、最初の期間のみ相談する人も多いですが、初めての相談をきっかけに、定期的な家計の見直しを目的として顧問契約を結ぶ場合もあります。
ライフプラン表を作成してもらい資金計画を立てる
ライフプラン表を作成すると、将来いつのタイミングでどのようなライフイベントが起こり、そのためにどれくらいの資金が必要になるかが明確になります。さらに現在の収支バランスや将来の資産状況の変化をもとに、住宅ローンの借入額や毎月の返済額など、不動産購入後の返済計画に関するアドバイスも受けられます。
不動産の購入は「人生最大の買い物」と呼ばれるほど多くの資金が必要な買い物です。計画的に返済をしていかなくては、突発的な出費や収入の変化により、家計を圧迫したり返済が困難になってしまうリスクがあるため、お金の専門家であるファイナンシャルプランナーのアドバイスにしっかりと耳を傾けるようにしましょう。
ファイナンシャルプランナーの無料相談を上手に活用しよう
不動産の購入を検討し始めたら、ハウスメーカーのカタログを見たり、住宅ローンについて調べたりする前に、まずはファイナンシャルプランナーへ相談することをおすすめします。
マイホームの購入には、土地や建物の売買代金のほかにも、住宅ローンを組む際の事務手数料や不動産会社に支払う仲介手数料、保険料や頭金といったさまざまな費用がかかり、当初想定していたよりも初期費用が大きくなることもあります。
また、住宅ローンは多くの場合で30年以上という長期にわたって返済計画を立てるため、購入時の収入や貯蓄以外にも、将来起きるであろうライフイベントを想定し、収入の変化なども予測したうえで、確実に返済できるようなプランを立てる必要があります。
不動産会社やハウスメーカーの中には、専門のファイナンシャルプランナーによる無料相談を実施しているところも多くあります。マイホームを購入するのが初めての人にとって、住宅ローンに詳しいファイナンシャルプランナーからのアドバイスは、住宅ローンを確実に返済しながら安定した生活を送るためには、なくてはならないものだと言えます。
ただし先述のとおり、所属系(企業系)のファイナンシャルプランナーは、自社で取り扱う住宅ローンなどの商品を契約してもらうことも目的としているため、すべての言葉を鵜呑みにしてしまうと、自分にあった商品や返済プランを見極めることが難しくなります。
はじめのうちは複数の不動産会社やハウスメーカーに問い合わせ、親身に相談に乗ってもらえる担当者のいる業者を選ぶようにしましょう。
柴田 誠
- 所属会社:
- 株式会社プレシーク
- 所属会社のWEBSITE:
- https://www.preseek.co.jp/
- 保有資格:
- 宅地建物取引士、不動産コンサルティング技能登録、ファイナンシャルプランナー、国内旅行取扱主任者、初級システムアドミニストレータ、相続アドバイザー協議会会員
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