すまい給付金っていつまで?間に合わなかった場合にはどうすればよい?
すまい給付金は消費税増税のために、住宅建築・購入者に負担が増えることから、負担を軽くするために補助をしていたという制度です。補助をしていた、と記載しているとおり、すまい給付金の申請受付期限は過ぎているため、すまい給付金自体を新たに申し込むことはできません。
しかし、すまい給付金に代わる補助制度があるため、そちらの補助制度を利用するよう検討をしてみてください。
本記事では、すまい給付金制度とはどのような制度なのか、すまい給付金制度に代わる補助制度はどのようなものがあるのか、解説していきます。
すまい給付金とは
すまい給付金とは、2019年10日1日に消費税が増税されたことにより、住宅を建築・購入する人の負担を軽減するために創設された制度です。一定条件を満たすことにより、最大50万円の補助を受けることができました。
背景として、住宅ローン控除は年間所得の多い人ほど優遇されていること、消費税は一律誰にでも同じ税率が課されることの2点により、消費税増税が年間所得が少ない人ほど不利となるため、すまい給付金制度が設けられました。
すまい給付金の対象になる人の条件
すまい給付金の対象となる人の条件は、次のとおりです。
・所有者となった住宅に自宅として使用する人
・収入が一定以下
すまい給付金の対象となる人の収入には、細かな条件が付されています。
収入条件の目安は、次のとおりです。
・住宅ローンを利用しないで住宅を取得する現金取得者については、年齢が50歳以上の人で、消費税10%時には、収入額の目安が650万円以下の要件が追加されます。
・収入が一定以下の者で消費税8%時は収入額の目安が510万円、消費税10%時は収入額の目安が775万円以下の人(夫婦で妻の収入なしの場合で中学生以下の子供が2人のモデル世帯において住宅取得する場合の夫のみの収入額の目安)
すまい給付金の対象になる住宅や住宅ローンの条件
すまい給付金を受けるためには、人の条件に加え、住宅の条件や住宅ローンの条件も満たす必要があります。
すまい給付金の対象となる住宅の条件
すまい給付金の対象となる住宅の条件は、新築住宅、中古再販売住宅、住宅ローンの借り入れの有無で条件が変わります。
そのため、ここでは主な建物の適用要件について記載します。
・消費税引き上げ後の消費税率が適用されていること
・床面積が50㎡以上であること
・第三者機関の検査を受けた住宅であること
すまい給付金の対象となる住宅ローンの条件
すまい給付金制度上の住宅ローンの定義は、次の3点すべてを満たすものを住宅ローンと呼びます。
・自ら居住する住宅の取得のために必要な借入金であること
・住宅ローン返済期間が5年以上であること
・金融機関等からの借入金であること
(親類や知人、友人などからの借入金は、住宅ローンとは見なしません)
すまい給付金の受付期間は終了
すまい給付金は期限がある時限措置の制度で、一度は延長されたものの注文住宅の請負契約締結日は2021年9月30日まで、新築建売住宅の不動産売買契約を締結した場合は2021年11月30日までに契約をすることが適用条件なので、受け付け自体は終了したことになります。
すまい給付金の入居期限については延長が決定
すまい給付金の期限には、受付する期限ともう一つ、新築する建物の引き渡し期限が決められています。
入居期限に関しては、注文住宅の新築は2021年9月末、分譲住宅等の購入は2021年11月末までに契約した場合に限り、2022年12月末までに延長されたため、まだ契約を期限内に済ませている人であればすまい給付金を利用することができます。
これはコロナの影響により、建物の着工や完成が遅れたり、設備の製造が遅れ据付工事ができないなどの影響が出始めたため、引き渡し期限が延長されました。そのため、受付期限内に契約した人で、まだ建物の引き渡しを受けていない人は忘れずにすまい給付金を受けるため申請をしましょう。
なお、申請は建物の引き渡しを受けてから1年3ヶ月以内に行わなければならず、申請に必要な書類を揃えたうえで、給付金事務局まで郵送か直接、手続きをする必要があります。
すまい給付金の申請に必要な書類は、次のとおりです。
・住民票(原本)
・建物の登記事項証明書(原本)
・個人住民税の課税証明書
・工事請負契約書または不動産売買契約書
・住宅ローンの金銭消費貸借契約書(コピー)
・振込先口座が確認できる書類
・施工中等の検査実施が確認できる書類で以下のいずれか
1.住宅瑕疵担保責任保険の付保証明書(コピー)
2.建設住宅性能評価書(コピー)
3.住宅瑕疵担保責任保険法人検査実施確認書(コピー)
すまい給付金に間に合わなかった人にはこんな制度も
前述したとおり、すまい給付金制度の申請期限は過ぎてしまったため、住宅建築や購入の補助を受けたいという人は、別の補助制度を利用することになります。
すまい給付金の創設目的は、消費税増税による費用負担の不公平を是正するものでしたが、2022年現在利用できる補助制度の目的はすまい給付金のものとは異なります。現在利用できる補助制度の前提として、日本政府が2050年のカーボンニュートラルを実現させるための省エネ性が高い建物の建築を促すことを目的としています。
そのため、この後紹介していく、新たに創設された制度は建物の性能要件が非常に細かく決まっており、どのような建物を建築するかにより、補助制度利用できるのか、制度を利用できても補助に差があるなど違いが出てきます。
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH住宅)支援事業
ZEH住宅とは、ZEHとは、net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略語で、「エネルギー収支をゼロ以下にする家」という意味になります。つまり、太陽光などでエネルギーを生みだしたり、断熱性など省エネ性能を高めエネルギー効率を上げたりすることにより、生み出したエネルギーと実際に生活で排出するエネルギーを差し引きしゼロにする家のことです。
ZEH支援事業を受けるためには、建築・購入する住宅がZEH住宅であることが条件となります。このZEH住宅の性能により補助額が変わり、55万円~112万円の補助を受けることができます。
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH住宅)支援事業の事業期間は、2025年まで(でこの期間内に交付申請し、交付決定後に建築に着手する必要があります。
なお、ZEH住宅は性能ごとに4種類に分かれ、この4種類ごとに補助される金額に差がつきます。
ZEH | 高断熱、太陽光発電システム、省エネ設備を導入したエネルギー収支0の住宅 ZEH住宅には、次のような住宅も含まれます。 ・Nearly ZEH(エネルギー75%以上削減できる住宅のことをいい寒冷地、低日射地域、多雪地域に限り認定されます) ・ZEH Oriented(都市部では太陽光発電の性能を発揮できないため、都市部に限りZEH基準を超える断熱性・省エネ性を備えていれば、太陽光発電や蓄電池が無くても認定されます) |
---|---|
ZEH+ | ZEHの省エネ性能をさらに向上させ、電気自動車充電設備などの再生可能エネルギーの自家消費 拡大設備などを導入した住宅 |
次世代ZEH+ | ZEH+に蓄電システム、燃料電池などの再生可能エネルギーの自家消費拡大設備などを導入した 住宅 |
次世代HEMS | 次世代ZEH+に、太陽光発電エネルギーの自家消費を拡大するために、AIやIoT技術などによる 最適制御を行う設備が整った住宅 |
ZEH住宅の補助額は、次のとおりです。
ZEH種別 | 補助額 |
---|---|
ZEH | 55万円 |
ZEH+ 次世代ZEH+ |
100万円 |
次世代HEMS | 112万円 |
こどもみらい住宅支援事業
こどもみらい住宅支援事業は2022年度よりスタートした住宅補助事業です。子育て世代の支援と2050年カーボンニュートラルの実現を目的としており、子育て世帯や若者夫婦世帯が一定の性能を有する住宅を購入する際に、補助を受けることができます。
こどもみらい住宅支援事業は、注文住宅の新築、新築分譲住宅の購入、リフォームに適用され、注文住宅と新築分譲住宅は建築主は子育て世帯または若者夫婦世帯に限られます。リフォームの場合は、発注者に制限はありません。
こども未来住宅支援事業は、補助対象となる人の年齢制限や、建物の建築条件、補助額に違いがあります。
また、こどもみらい住宅支援事業の補助を受けることができるのは、こどもみらい住宅事業者としてあらかじめ事務局に登録した者となります。つまり、注文住宅の新築の場合は建築事業者(工事請負業者)、新築分譲住宅の購入の場合は、販売事業者(販売代理を含む)、リフォームの場合は施工業者(工事請負業者)です。補助金はこどもみらい住宅事業者(不動産関連会社)に入るため、施主や買主が補助金を受け取るためには、こどもみらい住宅事業者から還元を受ける必要があります。
こどもみらい住宅支援事業の交付申請期限は、2022年10月31日まででしたが、2023年3月31日まで延長されることが決定しています。
地域型住宅グリーン化事業
地域型住宅グリーン化事業は、国土交通省に登録されたグループなどが分譲する、省エネ性能が高いなどの高性能な木造住宅の普及を目的とした事業です。
地域型グリーン化事業のグループとは、地域の中小工務店を中心に建材流通、製材などの住宅生産にかかる事業者で構成された団体のことを指します。原木供給事業者や製材、プレカット、建材流通、設計の各事業者が最低1社このグループに参加したうえで、中小工務店を加えて最低5社以上が参加していることが、補助を受ける要件となっています。
こどもみらい住宅支援事業と同じく、補助金は先にグループに入るため、施主が地域型グリーン化住宅の補助を受けるには、グループから還元を受ける必要があります。
地域型グリーン化事業では、70万円から150万円の補助を受けることができます。さらに条件を満たすと加算金というものが付加され、最大40万円を追加で受けることが可能です。
令和4年度地域型住宅グリーン化事業は、2022年4月27日~6月6日までのグループ募集から2023年2月6日までの実績報告完了が期限です。
自治体ごとの補助を利用
各自治体ごとに建物を新築する場合の補助を行っていることがあります。内容は各自治体ごとに違うため、補助制度があるのか、補助制度があるのであればどのような内容なのか、を確認しておく必要があります。
場合によっては、国の補助と併用して補助を受けることができる場合もあるため、上手く各自治体の補助も活用していきましょう。
すまい給付金はいつまで?|まとめ
すまい給付金の契約締結期限は過ぎてしまいましたが、契約締結期限内に建築請負契約や不動産売買契約を締結している人は、引き渡し期限が延長されているため、申請を忘れないようにしましょう。
すまい給付金を申請するためには、必要書類をまとめ、すまい給付金事務局へ郵送するか、持参する必要があります。
また、すまい給付金制度を利用できない場合でも、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH住宅)支援事業、こどもみらい住宅支援事業、地域型住宅グリーン化事業という補助制度があるため、こちらの各制度を利用することができるのかハウスメーカー・工務店、不動産会社に確認しておくことが大切です。
この各制度以外にも、各自治体が独自の補助制度を行っていることがあります。自治体独自の補助制度は、国の補助制度と併用できることがあるため、各制度を利用し住宅建築の費用を抑えていくようにしましょう。
ブログ:
中原スマイル日記
千葉 雅恵
- 所属会社:
- 株式会社スマイルパートナー
- 所属会社のWEBSITE:
- http://www.smile-partner.co.jp
- 保有資格:
- 宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー、NPO法人相続アドバイザー協議会、認定会員(上級アドバイザー)
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