22年路線価
国税庁は7月1日、相続税、贈与税に係る土地等の評価額の基準となる路線価(22年1月1日時点)を発表しました。それによると、対前年変動率の全国平均は0.5%上昇となり、2年ぶりに上昇に転じました。今回、最高路線価が上昇した都道府県庁所在都市は15都市(前年比7増)で、横ばいは16都市(同1減)、下落は16都市(同6減)。コロナ禍からの回復を受けて、上昇都市の多くでは前年から上昇率の拡大が見られる一方、下落と市では下落率の縮小および拡大が入り混じるなど、年ごとに濃淡が見て取れます。
22年の路線価によると、路線価額の最高は東京都中央区銀座5丁目銀座中央通り(鳩居堂前)で1平米当たり4224万円(前年比1.1%下落)。2年連続で下落したものの、37年連続の最高価額となりました。また、2位は大阪市北区角田町御堂筋の同1896万円(同4.0%下落)、3位は横浜市西区南幸1丁目横浜駅西口バスターミナル前通りの同1656万円(同3.0%上昇)となり、上位16位までは前年と同じ順位でした。
都道府県庁所在都市の中で最も上昇率が高かったのは、千葉県中央区富士見2丁目千葉駅前大通りで1平米当たり124万円(同5.1%上昇)。これは駅前再開発の進捗を受けたもので、前年(20年比3.5%上昇)よりも上昇率が拡大しました。このほか、札幌市中央区北5条西3丁目札幌停車場線通り(1平米当たり616万円、前年比4.8%上昇)、広島市中区胡町相生通り(同329万円、同3.5%上昇)が上昇率の上位で続きました。
他方、下落率が最も大きかったのが神戸市中央区三宮町1丁目三宮センター街(同490万円、同5.8%下落)です。前年比9.7%下落した21年路線価から下落率は縮小したものの、コロナ禍の影響で歓楽街の接待飲食は顧客回復が遅れ、店舗の収益性低下がうかがえます。
また、都道府県別の動向を見ると、対前年変動率の全国平均値は0.5%上昇(前年比1.0ポイント増)で、6年ぶりに下落に転じた21年から上昇に転じました。
都道府県別の平均変動率については、「上昇」が20都道府県(前年比13増)、「下落」が27県(同12減)、「横ばい」はゼロ(同1減)でした。上昇率が全国で最も高かったのは、北海道の4.0%上昇(前年比3.0ポイント増)。更に宮城県の2.9%上昇(同1.5ポイント増)や福岡県の3.6%上昇(同1.8ポイント増)と地方四市を有するエリアの好調さがうかがえます。
国税庁では「路線価の要因についてコメントする立場にはない」としたうえで、22年の地価公示と同様、新型コロナの影響が徐々に緩和される中で、全体的に前年から回復傾向が見られる点を指摘します。また、茨城県つくば市や千葉県船橋市など、7つの件では都道府県庁所在都市以外の都市が最高路線価となったと示しました。
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徳本 友一郎
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