住宅購入にかかる諸費用の内訳・相場【支払いが難しいときにはどうする?】
住宅購入時には土地や建物の購入代金のみでなく、諸費用を支払う必要があります。諸費用の中には税金や不動産会社に支払う仲介手数料などが含まれます。一般的なケースでは住宅購入時の諸費用は住宅ローンの借入金額に含めることができません。そのため諸費用は現金で用意しておく必要があります。
住宅購入時にかかる諸費用は、新築マンションの場合は物件価格の3~5%程度、中古マンションは物件価格の5~8%程度、建売住宅や中古住宅は5~10%程度かかるといわれています。本記事で諸費用の内訳やそれぞれの相場を詳しく確認していきましょう。
住宅購入時に発生する諸費用の相場と目安表
本記事冒頭で解説したように、住宅購入時には土地代や建物代とは別に諸費用がかかります。諸費用の中には不動産取得税などのように物件種別に関わらず発生する費用もあれば、新築マンションの修繕積立基金のように物件の種類によってかかる費用もあります。物件種別の諸費用の相場は以下のとおりです。
物件種別 | 諸費用の相場 |
---|---|
新築戸建て | 物件価格の約5~10% |
中古戸建て | 物件価格の約6~9% |
新築マンション | 物件価格の約3~5% |
中古マンション | 物件価格の約5~8% |
例えば物件価格が3,000万円の新築戸建てを購入した場合には、諸費用は150万~300万円程度かかります。物件価格2,000万円の中古マンションを購入した場合の諸費用は、100万円〜160万円程度です。
住宅購入時に発生する諸費用の種類|物件購入時発生費用
「住宅購入の諸費用をできるだけ抑えたい」「住宅購入の諸費用はいつまでに用意すれば良いの?」とお悩みの人もいるのではないでしょうか。住宅購入の諸費用といっても、様々な種類があります。そこで住宅購入の諸費用の種類別に、以下の3点を確認していきましょう。
1.何のために支払う費用か
2.金額相場
3.支払いタイミング
物件に関わる諸費用1|印紙税
金額の大きい契約を結ぶときには、契約書に収入印紙を貼る必要があります。収入印紙の購入費用がそのまま印紙税として扱われます。印紙税の金額は契約書に記載されている金額と契約書の内容によって異なります。印紙税の税額は以下のとおりです。
契約書の記載金額 | 税額 | |
不動産譲渡契約書・建設工事請負契約書 | 金銭消費貸借契約書 | |
500万円超1,000万円以下 | 5,000円 | 1万円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 1万円 | 2万円 |
5,000万円超1億円以下 | 3万円 | 6万円 |
1億円超5億円以下 | 6万円 | 10万円 |
住宅を購入するときには、不動産譲渡契約書を交わすので、4,500万円の不動産を購入した際には、1万円の印紙税がかかります。また4,500万円の購入費用をフルローンで支払う場合には金銭消費貸借契約書も交わすので、さらに2万円の印紙税が必要です。
契約書は住宅の売主や買主、ローンを借りる人や金融機関など当人同士が1通ずつ作成します。そのため住宅購入時には1通分の印紙税を負担しなければなりません。印紙税は契約書を作成するときにかかる費用なので、契約時または住宅ローン借入時に支払います。
物件に関わる諸費用2|不動産取得税
不動産取得税は名前のとおり、土地や建物を手に入れたときに1度だけかかる税金です。不動産取得税は土地や建物の評価額に応じて計算されます。税率は以下のとおりです。
土地 | 建物 | |
---|---|---|
税率 | 評価額×3% | 評価額×3% |
また土地と建物にはそれぞれ軽減措置が用意されています。軽減措置を適用するには、不動産取得日から条例等で定められた日以内に都道府県税事務所に申告しなければならないので、ご注意ください。不動産取得税は物件を取得して数ヶ月すると、納税通知書が送られてきます。納税通知書に書かれた期日までに支払いましょう。
物件に関わる諸費用3|登録免許税
登録免許税とは土地や建物を取得して登記簿に登録したときにかかる税金です。また住宅ローンによって不動産を取得した場合には、所有権登記だけでなく抵当権の設定登記も必要になります。登録免許税は固定資産税評価額に一定の税率を掛けた金額です。新築建物で評価額が決まっていない場合には、法務局が設定した価格にもとづいて計算されます。登録免許税の税率は以下のとおりです。
登記種別 | 税率 |
---|---|
土地(所有権移転登記) | 評価額×1.5% |
新築建物(所有権保存登記) | 評価額×0.4% |
中古建物(所有権移転登記) | 評価額×2% |
住宅ローン借入(抵当権設定登記) | 債権額×0.4% |
新築戸建てや新築マンションを購入したとしても、売主が一度、物件を保存登記していれば、買主は所有権移転登記を行います。登録免許税の税率が変わってくるのでご注意ください。登録免許税は法務局にて登記をした際に支払います。
物件に関わる諸費用4|登記代行手数料
法務局で行う登記は物件の買主も自分で行えますが、司法書士に依頼することも可能です。司法書士に依頼した場合には、登録免許税とは別に登記代行手数料がかかります。費用相場は司法書士法人によって異なりますが、単純な所有権移転登記の場合は5~6万円前後でやってもらえる場合が多いです。司法書士への報酬は、登記をするタイミングで支払います。
物件に関わる諸費用5|固定資産税精算金
固定資産税精算金とは、買主が売主に対して、土地や建物を自分が所有する日数分の固定資産税を払うときに発生する費用です。それに対して固定資産税は、1月1日時点にその建物や土地を所有している人に納税義務が課せられます。中古住宅や土地を購入した場合には、買主が売主に対して、固定資産税精算金を支払い固定資産税を按分するのが通例となっています。固定資産税精算金と固定資産税の関係をあらわす表は以下の通りです。
固定資産税精算金 | 固定資産税 | |
---|---|---|
支払う人 | 土地や建物の買主 | 1月1日時点に土地や建物を所有している人 |
計算方法 | 固定資産税を日割りで按分 | 固定資産税評価額によって計算される |
固定資産税は原則として物件の引き渡し日に対して、日割りで計算します。ただし起算日に関しては1月1日と4月1日で計算するケースがあり、地域によって差があるようです。固定資産税精算金は通常、購入代金の一部として扱われるので支払いタイミングは物件購入代金の決済と同時になる場合が多いです。
物件に関わる諸費用6|修繕積立金(新築マンションのみ)
新築マンションを購入した場合には、修繕積立金がかかります。修繕積立金とは共有部分の工事を行う際に使われる費用です。小規模な工事ではなく、10~15年程度ごとに行われる大規模な工事費用として活用されます。専有面積に応じて修繕積立金は計算されるので、部屋の面積が広いほど費用がかかります。支払いタイミングは、マンションの引き渡し時が一般的です。
物件に関わる諸費用7|仲介手数料
不動産会社を通じて住宅を購入した場合、不動産会社に支払う仲介手数料が発生します。仲介手数料がかかるのは、中古住宅が多いですが新築住宅でも取引態様が媒介もしくは仲介の場合には手数料がかかりますので、ご注意ください。不動産会社に支払う仲介手数料は宅地建物取引業法で上限が決まっています。物件価格が400万円を超えるときの手数料は以下のとおりです。
「物件価格×3% + 6万円」
また仲介手数料はサービスに対する対価なので、消費税が発生します。そのため、実際には以下の計算式の金額を支払う必要があります。
「物件価格×3.3% + 6万6,000円」
不動産会社への仲介手数料は、契約成立時と引き渡し時に半額ずつ払うケースが一般的です。
※関連記事「不動産購入時にかかる仲介手数料とは?上限額や早見表を紹介」
物件に関わる諸費用8|手付金
住宅購入の契約をする際には、手付金を支払う必要があります。手付金の金額は上限20%までと決められていますが、実際には5~10%程度が多いです。手付金は問題なく住宅ローンの審査がとおり、売買契約が締結されれば買主に返還されます。実務では返還ではなく購入費用の一部に組み込まれるケースが多いです。手付金は住宅ローンの融資がおりるまでに支払う必要があります。そのためまとまった金額の現金を用意しておかなければなりません。
住宅購入時に発生する諸費用の種類|住宅ローン契約時発生費用
住宅購入でかかる諸費用の中には、住宅ローン借入によって発生するものもあります。住宅ローン契約時に発生する諸費用の相場や支払いタイミングを確認していきましょう。
住宅ローンに関わる諸費用1|印紙税
契約書を締結するときにかかる印紙税は、住宅購入時だけでなく住宅ローンの契約書締結でも必要です。住宅ローンの契約にかかる印紙税の金額は以下のとおりです。
契約書に書かれた金額 | 税額 |
---|---|
500万円超1,000万円以下 | 1万円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 |
5,000万円超1億円以下 | 6万円 |
1億円超5億円以下 | 10万円 |
住宅ローンの契約書締結時に必要なので、現金を用意しておきましょう。
住宅ローンに関わる諸費用2|登録免許税
住宅ローンを借りると、購入した物件は抵当権の登記をしなければなりません。抵当権の登記費用は住宅ローンを借りる側が負担します。抵当権の登録免許税は以下のとおりです。
登記種別 | 税率 |
---|---|
住宅ローン借入(抵当権設定登記) | 債権額×0.4% |
例えば3,000万円の住宅ローンを借りた場合には、12万円の登録免許税が登記時にかかります。登録免許税は、購入した土地や建物の登録登記をするときにもかかるので、まとめて用意しておく必要があります。
住宅ローンに関わる諸費用3|登記代行手数料
抵当権の登記も司法書士に依頼可能です。自分で登記を行うのではなく、司法書士に依頼する場合には、司法書士への報酬が5~10万円程度かかります。こちらも司法書士法人に相談し、登記代行を依頼した際に費用を支払う必要があります。
住宅ローンに関わる諸費用4|融資事務手数料
融資事務手数料とは、住宅ローン借入時に金融機関に支払う手数料です。借入金額の2.2%などのように借入金額に対して金額が変わる場合や一律30万円などの場合があります。
住宅ローンに関わる諸費用5|ローン保証料
ローン保証料とは、住宅ローン借入時に保証会社に保証人になってもらうための費用です。借入期間が35年の場合、借入金額1,000万円に対して約20万かかるといわれています。住宅ローン借入時に支払う必要があります。
住宅ローンに関わる諸費用6|物件調査手数料
フラット35などのように、借入条件の中に住宅に関する条件が設定されている住宅ローンを借入するときにかかる費用です。物件の種類によって相場が変わります。
・一戸建て:6~8万円程度
・マンション:4~6万円程度
住宅ローンに関わる諸費用7|火災保険料
住宅ローン借入には、火災保険料加入も条件となっています。火災保険の相場は15万~40万円程度です。建物の建築構造や大きさ、補償内容によっても金額が大きく変わります。また地震保険に追加で加入する場合には、保険金額1,000万円に対し1~3万円程度必要です。
住宅購入時に発生する諸費用が払えない!知っておきたい対処法
購入する住宅の種類や収入状況によっては、住宅を購入する際の諸費用が払えない人もいるかもしれません。諸費用が払えず、困っている人向けに対処法を紹介していきます。
諸費用の一部を住宅ローンに組み込む
諸費用は原則として住宅ローンに組み込まず、現金払いが一般的です。しかし諸費用の中でもいくつかの費用は、住宅ローンに組み込んで支払えます。住宅ローンに組み込める諸費用の例は以下のとおりです。
・印紙税
・住宅ローン借り入れにかかる諸費用
・登記費用
・火災保険料
・仲介手数料
諸費用の全額を現金で支払うのが難しいのであれば、上記の費用だけでも住宅ローンに組み入れてしまうのがおすすめです。逆に以下の費用は住宅ローンに組み込めないので、現金で用意しておく必要があります。
・不動産取得税
・固定資産税
・新居の家具費用
諸費用ローンを別途契約する
住宅ローンとは別に諸費用専用のローンを組み、諸費用を支払う現金を用意するのも選択肢のひとつです。諸費用ローンを組めば、新居の家具費用など住宅ローンに組み込めない諸費用も用意できます。ただし諸費用ローンの金利は2~3%と住宅ローンよりも高い場合が多いので、計画的に利用するのが良いでしょう。
住宅購入時に発生する諸費用についてよくある質問
最後に住宅購入時に発生する諸費用について、よくある質問を回答と共に紹介していきます。
住宅ローンに諸費用を組み込む場合、デメリットや注意点はありますか?
住宅ローンに諸費用を組み込む場合、以下のデメリットがあります。
・住宅ローンの審査が厳しくなる可能性がある
・オーバーローンになるので返済負担率が上がる可能性がある
・金利が上がる可能性がある可能性がある
住宅ローンに諸費用を組み込むと「諸費用を用意できないので返済能力に不安がある」と審査で悪い印象を与えてしまう恐れがあります。場合によっては、審査に落ちる、借入条件が悪くなるなどの可能性があるのでご注意ください。
住宅ローンの諸費用はいつ支払いますか?
住宅ローンの諸費用は、ローンの借入時に支払う必要があります。それに対して物件の購入時にかかる諸費用の中には、売買契約締結時や物件の引き渡し後にかかる費用もあります。諸費用は支払いタイミングにばらつきがあるので、何の費用をいつ、いくら払うのかをしっかりと把握しておきましょう。
住宅購入時の諸費用の準備に困ったら!無料相談がおすすめ
住宅は数千万円近くする場合も多く、購入時の諸費用の金額もそれだけ高額になってしまいます。住宅購入の諸費用の計画を立てておかないと、諸費用を用意できず困ってしまうかもしれません。
住宅購入の諸費用がどうしても用意できないと悩んだときには、住宅ローンに諸費用を組み込むことも可能です。諸費用の支払いタイミングやまとまった現金を用意する方法にお悩みの人は、一度お金と不動産の専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
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- CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
- 著書:
- 初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント
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