注文住宅のコストダウンでできることは?可能な内容や注意点を紹介
注文住宅を購入する場合、一番の懸念事項はどれだけのコストがかかるか、ということでしょう。注文住宅では多くの要素が注文者の要望によって決まってきます。
そのためコストを下げたいと思えば、多くの項目で検討をすることができるのです。しかし、コストにばかりこだわると大切なことを見逃してしまうかも知れません。
注文住宅のコストダウンに関してできることと、注意点をご紹介します。
注文住宅でどこを削る?コストダウンできる3つの切り口
注文住宅はフルオーダーやセミオーダーといった種類が存在しています。注文者の要望に沿って、自由に注文できるのが利点です。しかし、その分だけ多くの金額がかかってしまいます。そんな注文住宅のコストダウンの方法として、下記を削るのが効果的です。
・面積・間取り
・設備・内装・収納
・外観・形状
コストダウンのためには、重きを置く場所を決めておくのがポイントです。お金をかけたいところと予算のバランスをとって、希望を叶えられるようにしましょう。
注文住宅平均予算オーバー額は?
実際にかかった金額を知っておくことで、ある程度の予算を決めることができます。SUUMOによって2016年に調査された、3000人の体験データを参照してみましょう。予算オーバー額は平均243万円(0円を除く)が集計結果です。
予算をオーバーしてしまう理由は様々ありますが、見積もりから漏れていたことや地盤の問題発覚、内装のグレードアップといった項目が挙げられています。
建築費用の平均は2,900万円となっていることから、3,000万円超えもあるでしょう。しっかりと見積もりをとって予算内に収めたいところです。
参考:注文住宅 3000人の家づくり体験談 2016【建築費用編】
面積・間取りのコストダウン
注文住宅において、3つのコストダウン方法があります。ここでは特に面積・間取りについての方法を解説します。延べ床面積を考え直すことや、間取りをよりシンプルにする、こだわるほどに価格が上がる和室を削るといった選択肢が挙げられるでしょう。
それぞれについて、価格を抑えられる理由やどれくらいの変化があるのかを述べていきます。
延べ床面積を抑える
延べ床面積を抑えることは、簡単に行えるコストダウンの1つです。これは見積もり段階でハウスメーカーが延べ床面積を利用して建築費用を算出していることに起因します。これによって建築費用を抑えることが可能となるのです。
しかし、延べ床面積を抑えると、規定の計算式によって坪単価が高くなります。延べ床面積を抑えても設備にかかる金額が高ければ、坪単位での単価は高いままです。しかし、本体価格は下がるため、コストダウンと考えることはできます。しかし、内装のグレードが高いことで、結果的に坪単価が上がることは忘れないようにしましょう。
部屋数を減らしシンプルな間取りにする
部屋数が増えるごとに、ドア、クロス、壁材、床といった項目に建材の費用がかかります。例えば各部屋に窓を設置する、収納を作るといった場合には、さらに扉や棚を付けなければなりません。コストダウンを考えるのであれば、部屋数を減らすことや収納を減らすことを考えましょう。
複雑な間取りであるほど、コストは高くなります。ただし、シンプルすぎる間取りは、建築方式によっては耐震性能にも関わってくるため、予算を考えて変更するのがおすすめです。
間取りについては、選んだハウスメーカーと相談し、予算に収まる範囲のサンプルを出してもらうのも良いでしょう。
和室を削る
和室はコストがかかる部屋の1つです。洋風の部屋はフローリングですが、和室は畳を利用することになるため、メンテナンス費用が将来的にかかってきます。もちろん本格的な和室にする場合は障子、ふすまといった項目もメンテナンス対象です。
こだわりを持って和室を作れば作るほど、コストが高くなるため、洋室を作る方が安い場合もあります。和室風の部屋でコストダウンを図ることもできますが、メンテナンス費用も込みで考えることで、実際に高くなってしまうのはどちらか考えることができるでしょう。
和室を削るのが、結果的にコストダウンへの近道となります。
設備・内装・収納のコストダウン
設備や内装、収納を見直すこともコストダウンに繋がります。設備1つとっても、建材と色を合わせることで、価格を抑えることに繋がるのです。内装や収納にもコストダウンをするためのポイントが存在しています。
設備グレードを下げたり建材を少なくするために、抑えておきたい内容について把握していきましょう。
水回りをワンフロアに集約する
注文住宅の良いところは、気に入った間取りにすることができることです。そのため、2階にキッチンを作りたい、1階にはお風呂を作りたい、トイレは上下階に1つずつといったように水回りを分散させてしまうことがあります。
しかし、このような間取りの家は配水のための管が複雑化し、その分だけ工数がかかるようになってしまうのです。それによって工賃も変化し、よりコストがかかるようになってしまいます。
水回りをできるだけワンフロアに固めることによって、シンプルな配管を実現することができるため、コストダウンに繋がるといえるでしょう。
収納を集約する
収納は間取りに関係なく、増やせば増やすほど建材が多く必要になります。部屋に1つ収納を付けると、その分だけ収納を隠すための扉や収納棚が必要になっていくのです。そのため収納はできるだけ集約するのが良いでしょう。
玄関周りに収納をまとめることで効率的に収納を可能にできますし、部屋の間取りを大きくして部屋数を減らすことで、収納を集約することができます。
コストダウンを検討している場合は、各部屋、各間取りの収納をできるだけ1つにすることで最大限のコストダウンを実現することができるでしょう。
自分で用意出来る設備は自己解決する
ハウスメーカーを利用すると、手配から設置まで行ってくれることがあります。しかしハウスメーカーに任せきりになってしまうと、設備の価格が高くなってしまうといえるでしょう。
個人で設備を用意することができれば、その分だけコストダウンすることができる利点があるのです。それらの方法を確認していきましょう。
自分で照明器具を用意する
照明器具は特に用意しやすい設備といえるでしょう。家電量販店だけではなく、状態の良い中古品、安く購入できるウェブサイトなど多くの選択肢が存在しています。家具屋や家電量販店では割引なども期待することができるでしょう。
それだけでも自分で用意する価値があるといえます。また、好きなデザインを選ぶことも可能なため、部屋に合った照明を選択することが可能です。照明器具の設置は非常に簡単なこともあり、素人でも取り扱いやすいため、コストダウンに利用しましょう。
自分でエアコンを用意する
エアコンを用意する時にポイントなのは、家電量販店を利用することです。一軒家の中にエアコンが少なくとも4台以上必要という場合は、家電量販店でまとめ買いの依頼をしましょう。
家電量販店では家電のまとめ買いはその分だけ割引を期待することができます。また、設置費用込みという場合もあり、ハウスメーカーに用意してもらって設置するよりも安く済む場合が多いといえるでしょう。
そのため、エアコンのような必需品といえる家電は自分で用意するのがおすすめです。
外観・形状のコストダウン
コストダウンは内部だけに留まりません。住宅というのは外観や形状も含めて考えるべきでしょう。外観や形状次第で、当然かかるコストも変化してきます。屋根の傾斜や複雑な外観になれば、建築時の足場などに費用がかかるでしょう。
外観でコストダウンする方法についても、参考にしてみてください。
窓を減らす・小さくする
外観というと外壁や色などを考える方もいるでしょう。それもコストダウンに繋がる方法が存在しますが、他にも窓というポイントがあります。陽が入るように多くの窓を付けたい、大きな窓にして自然光をたくさん取り入れたいという思いもあるでしょう。
しかし、コストダウンの面では窓を減らすこと、小さくすることがポイントです。窓が多ければ設置費用がかかってしまいます。大きな窓は設置コストや窓自体のコストが高くなるといった問題があるのです。
とはいえ換気や日当たりなどを考えると窓が無いというのは考えられません。必要な窓、不要な窓を取捨選択してバランス良く設置することが重要です。
シンプルな設計にする
シンプルにするべきは間取りだけではありません。外観もシンプルに設計することは効果的です。例えば、総2階建てという設計があります。この外観にすることで、1階部分に必要とされる屋根材が不要になるのです。
また、屋根の形状も寄せ棟屋根、切妻屋根、片流れ屋根など種類が複数存在しており、その中では片流れ屋根が最もシンプルな形状になります。そのため、外観もできるだけシンプルにすることで結果的にコストダウンに繋がるといえるでしょう。
さらにシンプルにするために、上から見た際に凹凸がない形状の家にするのがおすすめです。凹凸の分だけ、外壁の表面積が大きくなるため、形状としてはそれぞれの面が平面的な四角形に近い家の形状にするように心がけましょう。
コストダウンで削るべきでない所
コストダウンに関するポイントを述べてきましたが、あらゆる項目をコストダウンすることが良いとはいえません。安全性、セキュリティ、断熱、水回りなどはコストダウンの対象から外して考えるべき箇所です。
それらの項目について、理由や詳細を述べていきます。よく考えて選択してみましょう。
防災・耐震・耐火性に関する設備
日本で生活する上で大切なのは耐震構造です。制震、免震と多くの構造がありますが、これらをコストダウンするというのは安全性を犠牲にすることになります。せっかく家を建てても安全性に不安がある家では落ち着いて暮らすことができないでしょう。
また、耐火性についても注意が必要です。地震につきものなのは火災といえます。災害が起こった際には耐火性があることで隣家からの延焼を防ぐことができるため、より安全な生活を保証することができるでしょう。
これらの設備はコストダウンの対象からできるだけ外し、充分な設備を用意することが望ましいといえます。
防犯・セキュリティに関する設備
防犯やセキュリティの設備と言われてもなかなか思い付かないかも知れません。例えば、窓ガラスには衝撃に強いとされる強化ガラスがあります。さらに、空き巣などの侵入を防ぐために窓の鍵の構造が特殊になっている製品も存在しているため、心配な場合はそれらの製品を導入しましょう。
また、玄関のドアもサムターン回しの対策が施されている製品を採用するのがおすすめです。また、見えづらい場所に玄関があっても、ピッキング対策が施されていれば安心することができるでしょう。
防犯やセキュリティに関する設備は、玄関の配置や様々な要素で考え方が変わります。そのため、家の設計段階からよく相談して考えるようにしてください。
屋根・外壁・断熱材・外構に関する設備
屋根や外壁、断熱材、外構といった設備は、意外と忘れられがちです。内装へこだわりを持つのは良いですが、メンテナンス性や年間の空調の費用を考えると無視できない項目でしょう。
例えば、屋根や外壁は雨晒しにされたり、台風によって引き起こされる突風の影響などを受けます。簡単に壊れてしまっては困りますし、外壁は塗装の塗り直しも定期的に行わなければなりません。そのため、最低限必要な強度を考えておくことが必要となります。
また、断熱材については安価なものを利用しないようにしましょう。断熱材を安く考えると、暖房費などが高くつくだけではなく、温度差などによる健康被害が起こる可能性があります。これらの設備もしっかりと考慮しましょう。
水回りの設備
水回りでよく利用するのは、浴室やキッチンというのがすぐに浮かぶでしょう。利用頻度の高い水回りの環境は、より使いやすくメンテナンス性の高いものにすることで、長く利用することができます。
また、水回りにはカビが発生しやすかったり、掃除の手間がかかることが問題になりがちなため、各設備の中でも優先度を高くすることをおすすめします。毎日利用するキッチンなどは、アイランド型やカウンター型など多くのスタイルが存在しているため、利用しやすい形を選びましょう。
湿気がたまらないように、空気の流れなどもよく管理されていることが理想的です。換気などにも気を使い、間取りを考えましょう。
過度なコストダウンによる後悔を避けるポイント
コストダウンできる箇所を紹介してきましたが、あらゆるコストダウンをすれば確かに費用を抑えることができます。しかし、実際に住んだ時に不便ではせっかくの家もストレスフルな場所になってしまうでしょう。そのような後悔を避けるために、押さえておくべきポイントを紹介していきます。
ランニングコスト・メンテナンスコストを考える
ランニングコストとは維持費用のことです。家を建て、生活していくのは数年のことではありません。数十年にわたって住むことになるかも知れない場所である、ということを念頭に置くことが必要です。
そのためランニングコストと、メンテナンスコストを考える必要があります。せっかくコストダウンしたとしても、建築してすぐメンテナンスではコストダウンした分が無駄になるでしょう。そのため、これらのコストにしっかりと焦点を当てる必要があるのです。
過剰なコストダウンによってメンテナンスが早まらないように、必要な箇所に対する優先度を高めること、想定居住年数によって充分採算が取れるように気をつけましょう。
節約の代償になる心理的なコストを考える
節約することで、もしかしたら作業が増えることがあるかも知れません。あるいは環境が思ったより悪くなることもあるでしょう。家に住むまではどうなるかはわかりません。そのため、設備についてしっかりと計画を立て、下見をして納得して決める必要があります。
例えば節約をすることによって心理的コストが大きくなり、それが耐えられないものでは意味がありません。現実的なコストと、心理的なバランスを取ることで住みやすい家になるでしょう。そのため想像したり、モデルハウスなどで擬似的に体験してみるのがおすすめです。
設備を削る以外にコストを下げられないか検討する
設備を削ることで、コストを下げるのは容易です。しかし、後悔しない選択をするためにも設備以外の部分でコストが下げられないかを考えることは必要でしょう。
例えば、外構や門扉などです。これらは後からでも容易に設置することが可能であり、急ぐ必要はありません。それ以外にも、そもそも必要な規模の大きさなのか、必要な機能であるのか、そういった面にも目を向けるようにしましょう。
また、コストを下げることを検討する時に、多くのハウスメーカーに問い合わせることも効果的です。メーカーによっては設備を削らなくても、コストを下げることは可能でしょう。
注文住宅のコストダウンはお金と不動産のプロに相談しよう
注文住宅のコストダウンについて、具体的な方法を述べてきました。コストを下げるのは設備とのトレードオフの関係になりがちです。しかし、コストを抑える方法を理解するだけではなく、必要な箇所には充分な設備を準備しましょう。
ただし、個人の考えだけではすべてを解決することは難しい場合が多いです。そのため、お金と不動産のプロに相談するようにしましょう。状況に応じた提案が受けられることや、過去の事例から効果的な方法を提案してもらうことができます。
プロへの相談は無料です。まずは気軽に相談することから始めてみましょう。
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皆の笑顔に我が笑顔あり
徳本 友一郎
- 所属会社:
- 株式会社スタイルシステム
- 所属会社のWEBSITE:
- http://www.style-system.net
- 保有資格:
- CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
- 著書:
- 初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント
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