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家・住宅購入コラム

繰り上げ返済をするタイミングは、いつがベスト?

繰り上げ返済とは、毎月返済分やボーナス返済分とは別に、一部もしくは全額を返済することで、その資金はローンの元本部分に充当されます。その為、利息軽減効果があります。繰り上げ返済の種類、メリット・デメリットを含め、いつ行うのがベストなのかを見ていきます。

 

■繰り上げ返済の種類
繰り上げ返済と言っても、元本の一部を返済する「一部繰り上げ返済」と全額を返済(完済)する「全額繰上げ返済」があります。「一部繰り上げ返済」の中にも2種類あり、「期間短縮型」と「返済額軽減型」があります。「期間短縮型」とは、毎月の返済額はそのままで、元本相当額の期間を短くする方法、「返済額軽減型」とは、返済期間はそのままで、月々の返済額を減らす方法です。どちらがいいのかは、返済計画によって変わります。総返済額を減らすなら、「期間短縮型」の方が効果が大きいです。定年退職までに完済したいという方にも向いています。毎月の負担を少しでも減らしたいということであれば、「返済額軽減型」になります。こちらは総返済額の効果としては少ないですが、目に見える効果として、すぐに実感できます。
例として、残高3000万円、残期間20年、金利1%で繰り上げ返済を100万円した場合、「期間短縮型」と「返済額軽減型」ではどれくらい違うのかを見ていきます。

「期間短縮型」

月々の返済額:13万7968円のまま
返済期間:240ヶ月→232ヶ月(8ヶ月短縮)
総返済額:3311万2271円→3289万5963円(21万6308円の効果)

「返済額軽減型」

月々の返済額:13万7968円→13万3351円(4,617円減額)
返済期間:240ヶ月のまま
総返済額:3311万2271円→3300万8975円(10万3296円の効果)

二つを比べると、「期間短縮型」の方が、総返済額として11万3012円効果が大きいことがわかります。

 

■繰り上げ返済のメリット・デメリット
メリットとしては、何といっても利息軽減効果です。また、借入当時、保証料を支払っている場合は、期間に応じた返戻保証料があります。詳細な金額は金融機関にお問い合わせください。
デメリットは、手持ち資金が減ってしまうということです。教育費や病気やケガなどの治療費が必要になった時、収入が減ってしまったときや金利上昇への備えとしての生活資金は確保しておいてください。また、団体信用生命保険が支払われるようなことになった場合、その時の残高分が保険料として支払われます。たくさん繰り上げ返済をしていても、全くしていなくてもその時点での残高が対象となるため、もっと手元に残しておけばよかったということもあるかもしれません。こればっかりは結果論なので、何とも言えないですけどね。他にはローン控除が受けられなくなる可能性があります。ローン控除を受ける条件として、返済期間が10年以上必要なので、あまり多くを入れて10年を切ってしまうと、ローン控除対象外となってしまいます。また、土地と建物を分割で借りている場合、ローンは2本に分かれていますが、建物分の残高が少しでもないと、ローン控除の対象外になってしまうので、借入額が少ないからと言って、建物分を完済してしまわないように注意してください。そもそも、繰り上げ返済をして元本が減ると、ローン控除の金額も下がってしまう可能性があります。もう一点、期間短縮型を選択した場合、今後、借り換えをする際は、期間を延ばすことはできません。

 

■いつ行うのがベスト?
タイミングとしては、早い時期の方が利息軽減効果は大きいです。ただし、ローン控除を受けている場合は注意してください。現在の変動金利は1%未満の商品も多くとても低いです。ローン控除の期間と上限額は取得した時期により異なりますが、ローンの金利よりも控除率の方が高ければ、その期間は繰り上げ返済を行わない方が得になります。その間、手元資金を取っておき、ローン控除の期間が終わった時点で繰り上げ返済を行うのがいいでしょう。

 

 

□まとめ
繰り上げ返済をすると、期間が短くなったり、返済額が減ったり、保証料が戻ったりと目先の効果を実感できるので、一生懸命行ってしまう方もいらっしゃるかと思います。その結果、日々の生活が苦しくなるようでは本末転倒です。あくまで余裕を持った生活資金を残したうえで、ローンの金利なども考慮しながら、余剰資金を繰り上げ返済に回すようにしてください。そのためにも繰り上げ返済ありきでローンを組むのではなく、きちんとライフプランを立てた上で借り入れを行ってください。

徳本 友一郎

所属会社:
株式会社スタイルシステム
所属会社のWEBSITE:
http://www.style-system.net
保有資格:
CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
著書:
初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント

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