マンション政策の方向性
国土交通省は、今後のマンション政策の方向性をとりまとめ、8月10日に公表しました。マンションの老朽化及び居住者の高齢化という“2つの老い”に対応するため、昨年10月以来、9回にわたる有識者会議でマンションを巡る現状把握と課題の洗い出しを行い、整理したものです。現時点で考えられる政策の方向性をマンション政策全般に係る大綱として位置づけます。今後は施策の具体化に向けた検討に移ります。
同とりまとめでは、マンションの管理・修繕、再生を柱に施策の方向性を示しました。まず管理・修繕の観点からは、「マンションの長寿命化の推進」「修繕積立金の安定的な確保」「管理不全マンションへの対応」「管理組合役員の担い手不足」などを論点として整理しました。具体的には、老朽化したマンションは将来、区分所有者の手によって除却が必要となるものの、解体費用の確保等にかかる議論がなされていない点を踏まえ、同とりまとめでは「管理組合による解体費用の確保のあり方について検討する」としました。また、外部専門家を活用した第三者管理については「実態把握を進め、留意事項等をまとめた指針の整備等を行う」との方向性を示しました。
再生・建替え等については、「円滑な建替え事業等に向けた環境整備」や「多様なニーズに対応した事業手法のあり方」などを論点として示しました。例えば、建替え後のマンションの住戸面積基準(原則、50平米以上など)が区分所有者の費用負担増につながり、建替え推進のあい路となっているケースに着目。世帯人数の変化や地方公共団体の意見も踏まえ、面積基準の引き下げ等について検討を行う方針としました。法制審議会で検討中の区分所有建物の再生、区分所有関係の解消に関する新たな仕組みに対応した事業手続の整備に関する検討も進めていきます。
同とりまとめに示した「今後の施策の方向性」のうち、次の事項は今秋をめどに同検討会の下にワーキンググループ(WG)を設置します。具体的には、①マンションン管理計画認定制度の認定基準の見直し、②マンション標準管理規約の見直し、③管理業者が管理者となる場合も含めた外部専門家の活用のあり方――とし、施策の具体化に向けた検討を開始。WGでの議論の進ちょくを踏まえ、10回目以降の検討会開催を計画します。
同省では、管理組合等において管理適正化や再生円滑化に向けた議論を促進していくため、検討会で取り上げた課題やとりまとめの内容について同省ホームページで広く周知して区方針です。7月24日に開かれた第9回検討会では、委員から「区分所有者の責務という論点を明確化した」や「マンションを長寿命化していく姿勢や、老朽化したマンションの終活についても言及されている」など一定の評価を得たといい、今後、管理組合やマンション管理業者、自治体職員など様々な関係者の意識向上につなげていくことが期待されます。
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皆の笑顔に我が笑顔あり
徳本 友一郎
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