【2023年版!】戸建てリフォームで使える補助金を完全解説!
住宅のリフォームの際、使える補助金は使うべきです。しかし、どういった補助金が使えるのか分からない、という壁にぶつかる方は多いのではないでしょうか。
費用を抑えスムーズなリフォームを行うためには、補助金を受けるための条件の確認、複数の補助金が併用できるか、申請時期の確認など、早期の準備が必要です。
本記事では、戸建てのリフォームに使える補助金を6種類紹介し、特徴を解説します。さらに補助金選びで押さえるべきポイントを2つご紹介します。戸建てリフォームを検討している方はぜひご一読ください。
戸建てのリフォームに使える補助金一覧
戸建てのリフォームに使える補助金は以下の通りです。
・介護・バリアフリーに関する補助金
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以下、分かりやすく要点を解説します。該当するリフォームの補助金について知識を深めるためにぜひ役立ててください。
介護・バリアフリーに関する補助金
介護を必要な方が家で生活する際、不便を感じにくいようにするためのリフォームが「介護リフォーム・バリアフリーリフォーム」です。
【対象となるリフォーム】(注1)
対象となる介護リフォーム・バリアフリーリフォームの種類は以下の内容になります。
・手すりの取付け
・段差の解消
・滑りの防止及び移動の円滑化のための床又は通路面の材料の変更
・引き戸等への扉の取替え
・洋式便器等への便器の取替え
・その他リフォームに付帯して必要となる住宅改修
【補助金額】
介護保険制度を利用し、生涯20万円(要支援・要介護区分にかかわらず定額)を限度に保険給付されます。
一定の年齢を超えた高齢者の介護をする場合、生活動線に沿って階段・廊下・トイレ・浴室など、家中に手すりの設置が必要となる場合があります。
また、昔ながらの古い家に継続して住む場合、和式便座から洋式へ変更、古い床材での転倒防止に床材張り替えなどが必要となるケースがあります。
つまり、介護リフォームは「同時」に「複数」のリフォームが必要となる場合が多く、高額なリフォーム費用が必要となるため補助金を活用し費用を抑えることが重要です。
注1:厚生労働省「介護保険における住宅改修の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001016043.pdf
耐震リフォームへの補助金
耐震リフォームとは、住宅の耐震化を行うための改修工事です。日本は地震大国であり、日本及びその周辺で人間の体に感じる地震(震度1以上の有感地震)は1年間に1,000〜2,000回程度あるそうです(注2)。
【対象となるリフォーム】
「耐震診断・耐震改修」という2段階で補助金が受けられる場合があり、耐震診断を受けた結果、倒壊の可能性あり、または高いと診断された住宅が補助金の対象となります(耐震診断の結果、耐震改修の必要がなければリフォームの必要はなくなります)。
【補助金】
戸建て住宅の耐震リフォームへの補助金は自治体が主体です。補助金額は各自治体によって異なるため事前に問い合せましょう。その際、耐震診断の補助金有無を併せて確認します。
【実際にリフォームにかかる費用】
耐震リフォームにかかる費用について把握しておきましょう。一般的には改修費用は90万円〜300万円、平均約150万円とされています。住宅の耐震状況や築年数、床面積等、費用は家ごとに変動するため正確な金額は見積が必要です。
耐震リフォームの目安は、老朽化・地震による建築物のひび割れがある・自宅の耐震性が気になる、などの時です。他にも国土交通省では、既存の木造住宅について2000年以前のものを中心にリフォームの機会と捉え、接合部等の状況を確認することを推奨しています(注3)。
各自治体の内容にもよりますが、リフォームを行う際に本補助金を活用すれば費用を大幅に減らすことができるかもしれません。
注2:公益社団法人 日本地震学会「有感地震の頻度」
https://www.zisin.jp/faq/faq01_06.html
注3:国土交通省 新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法の公表について
長期優良住宅化リフォーム事業
長期優良住宅化リフォームとは、既存住宅の性能向上、省エネ化、または子育てしやすい生活環境の整備を目的としたリフォームのことです。国が主体となり工事費の一部に対し補助を行っています。対象建築物の中でも今回は戸建てに特化し解説していきます。
【対象となるリフォーム・費用】
主な補助対象はA.「性能向上リフォーム工事費」ですがB~Eも対象となります(注4)。簡易リフォームよりも根本からの良質化を目指すリフォームに使える制度です。
・リフォームで住宅を長く大切に使いたい「性能向上リフォーム工事費」
・親子同居を考えたい「三世代同居対応改修工事費」
・子育てしやすい生活環境に「子育て世帯向け改修工事費」
・災害に強い家に「防災性の向上・レジリエンス性(耐久性)の向上改修工事」
・住宅の現況調査(インスペクション)等に要する費用
【補助金を受けるための条件】
補助金を受けるためには、下記A〜Dの条件全てを満たす必要があります(注4)。
・リフォーム工事前
インスペクション(既存住宅状況調査技術者が実施する建物状況調査)を行うとともに、維持保全計画及びリフォームの履歴を作成すること
・リフォーム工事後(下記の性能基準を満たすこと)
【必須項目】劣化対策、耐震性(新耐震基準適合等)、省エネルギー対策の基準
【任意項目】維持管理・更新の容易性
Bの性能項目の工事(性能向上リフォーム工事・三世代同居対応改修工事・子育て世帯向け改修工事・防災性の向上改修工事・レジリエンス性の向上改修工事)をいずれか1つ以上行っていること
住戸面積の確保、居住環境、維持保全計画の策定要件に適合していること
以上、「長期優良住宅化リフォーム事業」は補助金制度の中でも金額が大きく、条件を満たすためのハードルも高い制度になります。自宅の性能向上のためのリフォームには費用がかかりがちですが、補助金でカバーする方法もあるのでリフォームの検討の際には知っておくといいでしょう。
注4:国立研究開発法人 建築研究所「長期優良住宅化リフォーム推進事業」
https://www.kenken.go.jp/chouki_r/reform_r5_1.html
断熱リフォーム支援事業
断熱リフォーム支援事業とは、既存住宅のリフォームにおいて窓やドアを高断熱のものに変えたり、壁や床に断熱材を入れるなどして住宅の断熱性能を上げ、エネルギー消費効率改善、低炭素化などを総合的に促進するものです。
【対象となるリフォーム】
補助の対象となるのは、外壁・屋根などに高性能な断熱材や窓など(=高性能建材)を用い、15%以上の省エネ効果が見込まれる断熱リフォーム工事です。
・高性能建材(玄関ドア、窓、ガラス、断熱材)
・家庭用蓄電システム
・家庭用蓄熱設備
・熱交換型換気設備
・エアコン など
B~Eまでの設備は、A.高性能建材の工事と同時に行う場合に限り補助の対象となります。
【補助金額】
リフォーム施工費用の1/3の補助を受けることができ、戸建ての場合は最大120万円/戸です。ただし補助を受けるために行うリフォームに使用する建材は、あらかじめ定められた製品から選んで工事を行う必要があります。
【対象者】
戸建て住宅の場合、対象者は個人の所有者(所有予定者)、賃貸住宅の所有者となります。原則、常時居住する専用住宅であり、店舗・事務所などとの併用でないことなどが条件となっています。
参考:環境省「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」
https://www.heco-hojo.jp/danref/index.html
次世代建材リフォーム
次世代建材リフォーム事業は経済産業省が行う国の補助金制度で、高性能な断熱材など「次世代省エネ建材」を活用しリフォームを行った場合に補助金が交付されるものです。新築は補償対象外となります。
【対象となるリフォーム】
戸建の場合、補助対象のリフォームは外張り断熱・内張り断熱・窓断熱の3種類です。補助対象となるリフォーム方法について詳細は以下の通りです。
・外張り断熱・・・住宅の柱よりも外側から全体を覆う工法。外壁全てを外張り断熱工法でリフォームを行う場合に補助の対象となる。
・内張り断熱・・・室内側から断熱材を張る工法。柱や壁、天井を壊さず短期間で施工が可能。補助対象となるには断熱パネル・潜熱蓄熱建材のいずれかを用いリフォームすることが条件。
・窓断熱・・・住宅の窓を高断熱窓にリフォームすること。全ての外窓と玄関ドアを防火・防風・防犯仕様にリフォームする場合に補助対象となる。
≪補助金の対象となる必須製品≫
・外張り断熱・・・外壁の断熱材 |
【補助金額】
補助額は補助対象経費の1/2、ただし下記の補助上限額が定められています。
・外張り断熱 300万円/戸
・内張り断熱 200万円/戸
・窓断熱 150万円/戸
注意点として、補助金申請は必ず事前に行い、公募に間に合うよう情報をチェックしましょう。
こどもエコすまい支援事業
こどもエコすまい支援事業は、簡潔に言えば住宅の省エネ化を進めるために国が行う補助金事業です。子育て世帯と若者夫婦(どちらかが39歳以下)をメインに、戸建てリフォームの場合30万〜60万円/戸の補助金が交付されます。
【対象となるリフォーム】
下記A〜Hが対象となりますが、D~HについてはA~Cと同時に行うことが条件となり単独で行うことは補助対象外となります。
・窓、ドアの断熱
・外壁、屋根・天井、床の断熱
・エコ住宅設備の断熱
・子育て対応リフォーム
・防災性向上リフォーム
・バリアフリーリフォーム
・空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
・リフォーム瑕疵保険等への加入
【補助金額】
原則1戸あたり30万円を上限とし、対象となる工事内容ごとの補助額合計となります。ただし、以下に該当する場合上限金額が引き上げられます。
①子育て世帯または若者夫婦が、自ら居住する住宅に行うリフォーム
②工事発注者が自ら居住するために購入した既存住宅に行うリフォーム
①②両方に該当する場合、上限金額は60万円に引き上げられます。①のみあるいは②のみに該当する場合は45万円、いずれも該当しない場合は30万円となります。
【対象者】
戸建てリフォームの場合、下記条件を満たす必要があります。
①リフォームする住宅の所有者等である
②こどもエコすまい支援事業者と工事請負契約等を締結し、リフォームを行う
全世帯が対象となりますが、前述したように子育て世帯・若者夫婦には補助額の上限が引き上げられます。
本事業の補助金申請は工事完了後に行うことが一般的ですが、着工後であれば「予約申請」を行うことが可能です(注5)。予約申請を行うと3か月間予算が確保され、仮に国の予算の関係で受付が終了しても補助金を受けることができます。工期が長い場合は注意してください。
参考:国土交通省 こどもエコすまい支援事業事務局
https://kodomo-ecosumai.mlit.go.jp/reform/
注5:厚生労働省 「こどもエコすまい支援事業 申請手続きの詳細」
https://kodomo-ecosumai.mlit.go.jp/reform/application.html
地方自治体ごとに用意されている補助金・助成金もある
戸建てリフォームの場合、地方自治体ごとに独自の補助金や助成金制度があります。補助金額や条件などは自治体ごとに異なるため、事前に市役所などに問合せをして活用できそうな補助金・助成金制度はないか確認しましょう。
下記のサイトでは、地方自治体ごとに補助金制度を調べることができます。参考にしてみてください。
国土交通省
地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト(令和4年度版) |
戸建てリフォームの補助金選びで重要なこと
戸建てリフォームの補助金を受けるためには、注意しなければならないポイントがあります。重要なことは以下の2つです。順に解説していきます。
・条件を確認する
・併用可否を確認する
条件を確認する
補助金について「もっと早くからやっていれば間に合ったのに」「思ったよりもらえなかった」そんなことにならないようにあらかじめ条件を確認しましょう。
戸建てリフォームの補助金は、制度によって条件が細かく指定されている場合があります。また、条件の満たす範囲によって補助金額が変わることもあります。
スムーズに補助金を受けるためには早い段階から条件を確認することが重要です。その後申請のタイミングを決め、審査が少しでも通りやすくなるよう工事請負会社と工期や工事内容などの計画を決めていきましょう。
併用可否を確認する
補助金制度の併用可否を確認せずにリフォームを進めると「併用できると思っていたのに申請したら併用不可だった」という事態になりかねません。原則、国からの補助金は併用不可です。自治体の補助金・助成金の併用は、原資が国庫である場合不可です。
例えば「断熱リフォーム支援事業」と「こどもエコすまい支援事業」は併用できませんが、地方自治体の補助金制度で国庫が充当されているものを除き、併用可能です。また、「次世代建材リフォーム」と「断熱リフォーム支援事業」は併用不可ですのでどちらか一方を選択することになります。
リフォームの費用を抑えるためにも補助金制度の併用について確認し、効果的に補助金制度を活用しましょう。
まとめ
戸建てリフォームに使える補助金をご紹介しました。
将来的に高齢者と同居予定がある、家族が安心・快適に暮らせる家にしたい、など戸建て住宅リフォームを検討する際にはぜひ補助金制度を活用してください。戸建てリフォームにおいて補助金を受けられれば、費用が大幅に抑えられるでしょう。
自分自身や家族の生活のために、補助金制度をうまく使って素敵なリフォームを行ってください。
ブログ:
皆の笑顔に我が笑顔あり
徳本 友一郎
- 所属会社:
- 株式会社スタイルシステム
- 所属会社のWEBSITE:
- http://www.style-system.net
- 保有資格:
- CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
- 著書:
- 初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント
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