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家・住宅購入コラム

「リ・バース60」累計6000件突破

住宅金融支援機構と提携している民間金融機関が提供する60歳以上向けの住宅ローン「リ・バース60」の利用が右肩上がりです。同機構によれば、22年度は23年2月末現在で申込受理件数は1617件で、前年同期比で1.1倍。09年のスタートから累計で6133件となりました。同機構が保証機能を担うことで民間金融機関の融資を担保します。取扱金融機関は全国で84機関となり、地域金融機関の参入割合が多くなっています。「高齢者との取引機会の拡大」「1案件当たりの収益性の向上」等が参入理由だと言います。
同ローンは、住宅の建設、購入、リフォーム、ローンの借り換えなど住まいの幅広いニーズに対応します。毎月の支払いは利息のみで、元金は利用者が亡くなった際に一括返済となるのが特徴です。利用者平均では申込人年齢は70歳、また所要額は2943万円、借入額は1606万円、毎月支払額は3.6万円、年金受給者割合は55%となります。足下の資金使途では注文住宅が約3割、借り換え及び新築マンションが2割ずつです。
利用者自身が亡くなった際に必要になる元金の一括返済には、相続人が一括返済することで自宅を残す方法と、担保物件の売却代金で返済する方法があります。後者については売却代金で債務が残った場合、その不足分を相続人が返済するのが「リコース型」、相続人に返済の必要がないのが「ノンリコース型」です。同ローンは、このノンリコース型を始めた17年以降に大幅に伸張し、20年度は初めて年間で1000件を超えました。リコース型よりも年率で0.5%程度高くなるが、同機構によれば大半がノンリコース型を選択しているといいます。

なお、同機構は、高齢者の選択肢として十分に認識が進んでいるかを調査するため、「リ・バース60」の利用者238人にアンケート(22年12月~23年2月)を実施しました。「一般の住宅ローンでは新築購入は実現できなかった(73歳)」「老後の資金に手を付けずに憧れの街へ住み替えができる(55歳)」など利用者の87%が満足感を示す一方、「知り合いに勧めたい」との回答は62%にとどまりました。同機構住宅融資保険部リ・バース60推進グループ長は「ローンを借りる事へのネガティブな印象や他人に知られたくないという思いがこの差分に表れている可能性がある」と指摘しました。
また、利用の決め手となった理由(複数回答)については「毎月の支払いが利息のみ(72%)」「住宅・販売事業者の勧め(51%)」「相続人に住宅を残す必要がない(38%)」の順となりました。また、亡くなった後の住まいの取り扱いについては、「未定(35%)」が最も多かったが、回答全体の半分は相続人が預貯金等で完済か、物件売却かの方向性が決まっていることが分かりました。

徳本 友一郎

所属会社:
株式会社スタイルシステム
所属会社のWEBSITE:
http://www.style-system.net
保有資格:
CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
著書:
初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント

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