老朽化マンションの要除却認定
国土交通省は、老朽化したマンション等の要除却認定基準の概要を取りまとめ、6月24日からパブリックコメント(意見公募)を開始しました。マンション建替え等円滑化法の改正に伴い、老朽化したマンションなど、要除却認定の対象となるマンションの類型が拡充されたことへの対応となります。今春より、有識者検討会を設置し、具体的な基準設定に向けて議論してきました。意見公募期間は7月26日まで。
改正概要では、要除却認定の対象となるマンションとして「生命・身体への危険性がある」または「住宅の基本的条件である生活インフラが不十分」なもののうち、簡易な修繕で改善することが難しく、除却することも合理的な選択肢の一つと考えられるものを設定。具体的には①火災安全性、②外壁剥落危険性、③配管設備腐食等、④バリアフリーという4つの基準を定めます。例えば配管設備腐食等に係る基準については給水、排水その他の配管設備で、2ヶ所以上で漏水が生じたこと(ただし、一つの排水横枝管につながる排水管のみで漏水が生じている場合を除く)とします。バリアフリーに係る基準では、高齢者や障害者等の移動等円滑化促進法で移動等円滑化経路に適用される建築物移動等円滑化基準のうち、修繕により容易に適合させることができない場合とし、具体的事項を記しています。
またこれら4基準にがいとうするかどうかの調査は、基準の区分に応じて資格要件を定めます。火災安全性およびバリアフリーに関してはそれぞれ「建物の規模・構造に応じた建築士」とし、外壁剝落危険性に関しては、「一級建築士、二級建築士、建築物調査員資格者証の交付を受けている者」、配管設備腐食等に関しては「一級建築士、二級建築士、建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者」とする。なお、いずれの調査も、必要な資格と同等以上の知識・経験を有すると認められる者も含みます。
これまでに開かれた同有識者検討会では「マンションの大半に管理会社が関与しており、修繕を相談する段階で建築士が登場してくる。管理会社から制度の周知が図られるようにしていきたい」との意見が出ていました。
なお、同省では今後、パブリックコメントの意見を精査の上、第3回検討会を8月ごろに開催予定。21年12月中の交付、施行を目指します。
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徳本 友一郎
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