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家・住宅購入コラム

【貯金なしの住宅購入は難しい!】理由や必要な貯金額を解説

子供が生まれたり、住宅ローンの返済期間を考えたりすると、住宅の購入に対して焦りが出ることがあります。

しかし以下のような理由から、住宅購入に充てる貯金がないという世帯は少なくありません。

・結婚にかかる費用が高く付き、貯金が無くなってしまった
・結婚や妊娠を機に専業主婦になったため、世帯年収が低い

貯金なしの状態だと、住宅購入は難しいと言えます。

この記事では、貯金なしの住宅購入について、以下の3点を解説します。

・貯金なしの住宅購入が難しい理由
・住宅購入にかかる初期費用を抑える方法
・住宅購入までに貯めておきたい金額

住宅購入の計画を立てる際に、ぜひ参考にしてください。

貯金なしの住宅購入は難しい【理由を解説】

貯金なしの住宅購入が難しい理由は、以下のとおりです。

・頭金・手付金・諸費用が必要なため
・住宅購入後にもさまざまな費用がかかるため
・リスクがあるため
・住宅ローンの審査が通りづらくなるため

1つずつ、詳しく解説していきます。

頭金とは

頭金は、住宅の購入価格と住宅ローンで借り入れる金額との差額です。

住宅の購入価格 – 住宅ローンの借り入れ額 = 頭金」になります。

頭金によって、住宅の購入価格の一部を先払いするイメージです。

頭金の目的は、住宅ローンの借り入れ額を減らすことです。頭金を支払った分だけ、利息がかかる住宅ローンの借り入れ額を減らせるため、トータルの費用を抑えることができます。

頭金は、住宅の売買契約を結んでから引き渡しまでに、現金で支払うのが一般的です。

頭金の目安は購入価格の10%〜20%ですが、金額に決まりはありません。

手付金とは

手付金は、頭金の一部です。住宅の売買契約が成立した証として、売主に現金で支払います。

手付金には住宅購入の意思を示す目的もあります。売買契約が成立したあとに契約をキャンセルする場合、支払った手付金は戻ってきません。

手付金は、契約に対する売主の安心材料にもなるのです。そのため、手付金を用意できない場合、契約を断られてしまうこともあります。

手付金の相場は、住宅の購入価格の5%〜10%ほどで、20%が上限です。

諸費用とは

住宅を購入する際には、頭金を含めた住宅の購入費用とは別に、諸費用もかかります。諸費用の目安は、購入価格の10%ほどです。

諸費用の相場や計算式は以下のとおりです。

諸費用 相場・計算式
仲介手数料 ( 住宅の価格 × 3% + 6万円 ) + 消費税
住宅ローンの事務手数料 定率型:借り入れ金額 × 2.2%
定額型:3万円〜10万円
住宅ローンの事務代行手数料 10万円
火災保険料 5,000円〜10万円
印紙税 1万円
所有権の登記費用 新築:固定資産税評価額 × 0.15%
中古:固定資産税評価額 × 0.3%
抵当権の登記費用 住宅ローンの借り入れ金額 × 0.1%
司法書士への報酬 5万円〜10万円
地鎮祭・上棟式の費用 20万円
修繕積立基金 20万円〜80万円

固定資産税評価額は、住宅の価値によって変わります。目安は、住宅の価格の70%ほどです。

相場や計算式の表を基に、それぞれの諸費用について以下に詳しく解説していきます。

仲介手数料

仲介手数料は、中古の一戸建てやマンションを購入する際に、不動産会社に対して支払う費用です。住宅を探してくれたお礼として支払います。

仲介手数料の支払い方法は、以下のいずれかです。

・売買契約時にまとめて支払う
・売買契約時と、住宅の引き渡し時に半分ずつ支払う

住宅ローンの事務手数料

住宅ローンの事務手数料は、住宅ローンを借り入れるタイミングで金融機関に支払います。

定率型と定額型の違いは「保証会社の利用料(保証料)が含まれているか」であることが一般的です。

・定率型:保証料が含まれている
・定額型:保証料が含まれておらず、別で支払う必要がある

保証会社は、住宅ローンの返済ができなくなった際に、金融機関に対して立て替えてくれます。

そのため、多くの金融機関が保証会社の利用を必須としています。

住宅ローンの事務代行手数料

住宅ローンの事務代行手数料は、不動産会社が住宅ローンの審査手続きを代行してくれた際に支払います。売買契約時に支払うのが一般的です。

不動産会社が代行してくれる手続きは、以下のとおりです。

・必要書類を集める
・必要書類を金融機関に提出し、審査を申し込む

自分で手続きを行う場合、事務代行手数料は必要ありません。

火災保険料

火災保険料は、火災保険に加入するために支払う費用です。住宅ローンを利用する場合、基本的に火災保険への加入は必須です。

火災保険は、火災や自然災害による住宅の損害を補償してくれます。しかし、地震による火災や津波が原因の損害は補償されません。

地震による損害に備えるためには、地震保険とセットになった火災保険に入る必要があります。

火災保険の相場は、住宅の種類や地震保険の有無によって変わります。

住宅の種類 地震保険なし 地震保険あり
一戸建て 3万円〜5万円 5万円〜10万円
マンション 5,000円〜8,000円 1万円〜2万円

 

印紙税

印紙税は、売買契約や住宅ローンの契約にかかる税金です。住宅の購入金額によって必要な税額が変わります。

1,000万円超〜5,000万円の住宅を購入した場合、印紙税は2万円です。令和6年3月31日までに作成された売買契約書にかかる印紙税は、軽減措置によって1万円になります。

購入した収入印紙を契約書に貼り、消印されることで、印紙税の納税が完了する仕組みです。

所有権の登記費用

新築住宅を購入したら「所有権の保存登記」を行う必要があります。また、中古住宅を購入した場合は「所有権の移転登記」を行います。

どちらも、登記簿上の所有者を自分にする手続きです。住宅の引き渡し後に、司法書士が代理で行います。

登記費用の正体は、登録免許税です。登記にかかる登録免許税は、令和6年3月31日までは軽減措置が適用されています。

抵当権の登記費用

住宅ローンを利用する際には「抵当権の設定登記」も必要です。抵当権の設定登記にも登録免許税がかかり、令和6年3月31日までは軽減措置が適用されています。

抵当権の設定登記は、住宅ローンや抵当権設定の契約後に、司法書士が代理で行うのが一般的です。

司法書士への報酬

サポートを依頼した司法書士に対しての報酬も必要です。

司法書士は、以下のようなサポートをしてくれます。

・登記申請書の作成
・必要書類の収集や提出
・引き渡し時の精算立ち会い

地鎮祭・上棟式の費用

地鎮祭は、土地に住宅を建てる前に工事の無事を祈る儀式です。神主へのお礼やお供物などに、5万円〜10万円ほどの費用がかかります。

上棟式は、柱や屋根の基礎部分が完成したことを祝い、無事に完成することを祈る儀式です。神主や大工に対するご祝儀に、10万円〜15万円ほどの費用がかかります。

どちらも新築の注文住宅を建てる際にかかる費用です。縁起担ぎや厄除けの意味合いがありますが、近年は行わない人も増えています。

修繕積立基金

修繕積立基金は、新築マンションを購入する場合に必要な費用です。マンションの大規模修繕工事のために集められます。

修繕積立基金の費用は、マンションが建っているエリアや大きさによって異なります。

住宅購入後にかかる費用とは

住宅の購入後にかかる費用は、以下のとおりです。

住宅購入後にかかる費用 相場・計算式
固定資産税 固定資産税評価額 × 1.4%
都市計画税 固定資産税評価額 × 0.3%
不動産取得税 ( 固定資産税評価額 – 1,200万円 ) × 3%
引っ越し業者代 13万円
家具家電の購入代 家庭によって異なる

それぞれの費用について、詳しく見ていきましょう。

固定資産税

固定資産税は、住宅購入の翌年から毎年支払う税金です。中古住宅の場合は、売主が払いすぎた固定資産税を住宅の引き渡し時に支払うこともあります。

令和6年3月31日までに購入した新築住宅には、以下の軽減措置があります。

・一戸建て:3年間、固定資産税が半額になる
・マンション:5年間、固定資産税が半額になる

都市計画税

都市計画税は、購入した住宅が市街化区域にある場合にかかる税金です。固定資産税と同じく、住宅購入の翌年から毎年支払います。

市街化区域とは、以下のような区域のことです。

・すでに栄えている区域
・これから開発を行い、活性化させる区域

不動産取得税

不動産取得税は、住宅の購入から半年〜1年後に支払う税金です。

住宅購入後にかかる費用一覧で紹介した以下の計算式は、令和6年3月31日までの軽減措置が適用されたものです。

( 固定資産税評価額 – 1,200万円 ) × 3%

平成9年4月1日より前に建てられた中古住宅の場合、計算式の1,200万円の部分は、築年数が古くなるほど小さくなります。

引っ越し業者代

引っ越し業者代は、引っ越しシーズンである3月が最も高くなります。荷物を運ぶ距離や曜日、荷物の量などによっても、費用が大きく変わります。

引っ越し日や業者を選べるように、余裕を持って見積もりを依頼することが大切です。

家具家電の購入代

家具や家電を新しく購入する場合、想定していた金額より高くなることは少なくありません。住宅が広くなったり部屋数が増えたりすることで、新しい照明器具やカーテンも必要になります。

家具屋や家電量販店から郵送してもらう場合は、郵送にかかる費用も予算に入れて置きましょう。

貯金なしの住宅購入で発生するリスク

貯金がない状態で住宅を購入することで、以下のようなリスクが発生します。

・病気やケガ、急な入院の際に医療費を支払えない
・子供が増えて養育費が足りなくなる
・収入が減り、生活がギリギリになる

貯金がないと、想定外の支出で家計がすぐに赤字になってしまいます。最悪の場合、住宅ローンの返済も難しくなってしまうため、本末転倒です。

住宅ローンの審査が通りづらくなる

貯金なしで住宅を購入する場合、以下の理由から住宅ローンの審査が通りづらくなります。

・頭金をゼロにするしかないため、借り入れる金額が高くなる
・収入が少ないもしくは、支出が多いケースが考えられる
・返済能力が低いと判断される

住宅購入のために消費者金融などからお金を借りると、余計に審査が通りづらくなるため、注意が必要です。すでに借金がある状態になり、返済能力が低いと判断されてしまいます。

貯金なしで住宅を購入する場合「フルローン」や「オーバーローン」を利用するのが一般的です。詳しくは次の章で解説します。

住宅購入にかかる初期費用を抑える方法

貯金がまったく無い状態での住宅購入は難しいですが、初期費用を安く抑える方法はあります。フルローンやオーバーローンを利用することで、貯金が少なくても住宅の購入が可能です。

フルローン・オーバーローンとは

フルローンとは、住宅の購入価格と同じ金額を住宅ローンで借り入れることです。頭金としての費用も、住宅ローンの借り入れ金から支払うことができます。

オーバーローンとは、 住宅の購入価格だけでなく諸費用も含めた金額を住宅ローンで借り入れることです。フルローンとオーバーローンの違いは「諸費用まで住宅ローンでまかなうのかどうか」です。

フルローン・オーバーローンのデメリット

フルローンやオーバーローンは、貯金が少なくても住宅購入に踏み切れるというメリットがあります。一方で、以下のようなデメリットもあるため、注意が必要です。

①月々の返済額や、返済総額が高くなる

住宅ローンの返済には利息が付くため、借り入れ金額が多くなるほど、月々の返済額や返済総額も高く付いてしまいます。

②ローンに組み込めない費用がある

金融機関によっては、フルローンやオーバーローンに組み込めない費用もあります。ローンに組み込めない費用は、貯金から支払わなければなりません。

③金利が高くなる可能性がある

金融機関にとって、融資する金額が多くなるほど、融資金を回収できなくなるリスクが高まります。そのため、借り入れる金額が多いほど、金利が高く設定される可能性があります。

住宅購入までに貯めておきたい金額

住宅を購入するまでに貯めておきたい金額の目安は、購入価格の20%〜30%ほどです。頭金や諸費用といった初期費用だけで、購入価格の20%ほどの金額になります。

中古の一戸建てを購入する場合を例として、購入価格ごとの具体的な初期費用を見ていきましょう。

費用 2,000万円の住宅 3,000万円の住宅 4,000万円の住宅
頭金 200万円 300万円 400万円
仲介手数料 72.6万円 105.6万円 138.6万円
住宅ローン事務手数料 39.6万円 59.4万円 79.2万円
住宅ローン事務代行手数料 10万円 10万円 10万円
火災保険料 5万円 5万円 5万円
印紙税 1万円 1万円 1万円
所有権の登記費用 4.2万円 6.3万円 8.4万円
抵当権の登記費用 1.8万円 2.7万円 3.6万円
司法書士への報酬 8万円 8万円 8万円
固定資産税 9.8万円 14.7万円 19.6万円
都市計画税 4.2万円 6.3万円 8.4万円
不動産取得税 6万円 27万円 48万円
引っ越し業者代 13万円 13万円 13万円
合計 375.2万円 559万円 742.8万円

上記の合計額に加えて、家具や家電の購入代もかかります。

初期費用を支払えるだけの貯金があると、フルローンやオーバーローンを利用せずに済むため、トータルの費用も安くなります。引っ越し後の生活費や想定外の支出も考えると、購入価格の20%〜30%ほどの貯金があれば安心です。

まとめ【焦らずに準備することが大切】

貯金なしの状態で住宅を購入するのは難しいと言えます。住宅の購入時や購入直後には、多くの費用がかかるためです。諸費用を住宅ローンに組み込むことも可能ですが、長い目で見ると高く付いてしまいます。

住宅購入後の生活を考えて、資金を十分に確保し、予算に余裕を持たせておきましょう。

年齢や家庭の状況、友人の住宅購入などで焦りが出てしまうこともあります。しかし夢のマイホームで後悔しないためには、焦らずに準備することが大切です。

徳本 友一郎

所属会社:
株式会社スタイルシステム
所属会社のWEBSITE:
http://www.style-system.net
保有資格:
CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
著書:
初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント

営業電は0!住宅購入のプロに相談しよう

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