持ち家はいらない?メリット・デメリットや持ち家を手放す方法を解説
結婚や出産などのライフイベントを機に、将来を考えて住宅の購入を検討する人は少なくありません。一方で、さまざまな理由から「持ち家はいらない」と考える人も増えています。
この記事では、持ち家のメリットやデメリットをはじめ、以下の内容を解説します。
・「持ち家はいらない」と考える人の理由
・持ち家を手放す方法
住宅の購入は大きな買い物であるため、持ち家についての知識を付けたうえで慎重に検討することが大切です。
持ち家のメリットとデメリット
持ち家を検討するにあたって、はじめにメリットとデメリットを知ることが大切です。
持ち家のメリットとデメリットを以下にまとめました。
メリット | デメリット |
---|---|
老後の心配が減る | 購入費用が高い |
内装や外装を自由に変えられる | 維持管理が大変 |
資産になる | 税金がかかる |
所得税の控除を受けられる | 気軽に引っ越しができない |
離婚の際にトラブルの元となる |
それぞれ詳しく解説していきます。
持ち家のメリット
持ち家のメリットとして、以下の4点が挙げられます。
・老後の心配が減る
・内装や外装を自由に変えられる
・資産になる
・所得税の控除を受けられる
1つずつ詳しく解説していきます。
老後の心配が減る
持ち家による「老後に住む家がある」という安心感は大きいものです。
高齢者は定年退職後で収入が低いことなどを理由に、賃貸物件を契約できないことがあります。
また住宅ローンをすべて返済してしまえば、毎月の支払いは税金くらいです。メンテナンスや修繕にかかる費用も必要ですが、賃貸物件の家賃に比べて負担が軽くなることが多いです。
内装や外装を自由に変えられる
持ち家は、内装や外装、設備などを自由に変えられるメリットもあります。生活環境の変化や趣味にあわせて、以下のような大規模工事も可能です。
・ペットドアやキャットウォークなど、ペット専用の設備を取り付ける
・老後を見越してバリアフリー仕様にする
・趣味の楽器演奏を楽しめるような防音室を作る
賃貸の場合、内装・外装のリフォームや設備の変更が禁止されていることが多く、軽微な変更だとしても退去時に原状復帰しなければなりません。
資産になる
資産になる点も、持ち家のメリットの1つです。
資産である持ち家は、以下のように活用することが可能です。
・賃貸物件として貸し出して収益を得る
・自身の子どもに相続する
・持ち家を担保にして不動産担保ローンを利用する
不動産担保ローンとは、持ち家や土地などを担保にすることでお金を借りられる商品のことです。
担保が要らない無担保ローンよりも高額の融資を低金利で受けられるメリットがあり、まとまったお金が必要になった場合に役立ちます。
所得税の控除を受けられる
住宅ローンを利用して住宅を購入すると「住宅ローン減税」が適用されるため、所得税の控除を受けられます。住宅ローン減税の適用期間は、新築住宅で最大13年間、中古住宅で最大10年間です。
住宅ローン減税の制度を利用するためには、以下のような条件を満たす必要があります。
項目 | 条件 |
---|---|
床面積 | 50㎡以上 |
所得の合計金額 | 2,000万円以下 |
住宅ローンの返済期間 | 10年以上 |
居住する目的 | 自身が居住するため |
入居時期 | 新築住宅:住宅の工事完了から6ヶ月以内 中古住宅:住宅の引き渡しから6ヶ月以内 |
住宅ローン減税の適用条件は、建築確認日や住宅の状態などによって変わるため、国土交通省のホームページも参考にしてください。
持ち家のデメリット
持ち家のデメリットについては、以下の5点が挙げられます。
・購入費用が高い
・維持管理が大変
・税金がかかる
・気軽に引っ越しができない
・離婚の際にトラブルの元となる
それぞれのデメリットを詳しく見ていきましょう。
購入費用が高い
購入にかかる金額が高いことは、持ち家の大きなデメリットです。多くの人が数十年にわたって住宅ローンを支払うことになります。
住宅の購入時には、購入代金だけではなく以下のような諸費用もかかります。
・印紙税や登録免許税などの税金
・司法書士などの専門家に支払う報酬
・保険料
・不動産屋に支払う仲介手数料
住宅の購入にかかる諸費用は、購入代金の10%ほどが目安です。数百万円になることもあるため、諸費用を考慮した金額を用意する必要があります。
維持管理が大変
日々のメンテナンスや大規模な修繕など、持ち家の維持管理にはお金と労力がかかります。維持管理の主な目的は、持ち家の安全性や見た目、資産としての価値を保つことです。
設備などに問題が生じた場合、賃貸物件であれば管理会社に修理をお願いできます。しかし持ち家だと自分たちで修理業者を手配し、費用を負担しなければなりません。
また地震や川の氾濫などの災害で、思いもよらぬ損害が出てしまう可能性もあるため、持ち家の維持管理は大変です。
税金がかかる
持ち家には固定資産税や都市計画税がかかります。
固定資産税とは、不動産などの固定資産を持っている人が支払う税金のことです。使い道は決められていませんが、一般的に市町村の発展のために使われます。
また都市計画税は、道路や公園、水道などを整備する都市計画事業に使われます。市街化区域内の不動産を持っている人が支払う税金です。
市街化区域は、以下のいずれかを指します。
・すでに市街地を形成していて栄えている区域
・これから開発を進め、市街地にする予定の区域
持ち家が市街化区域内にある場合は、固定資産税と都市計画税のどちらも支払わなければなりません。
気軽に引っ越しができない
気軽に引っ越しができないことも、持ち家のデメリットの1つです。
住宅を購入して住み始めると、以下のような問題が起こるリスクがあります。
・異動や進学で生活範囲が変わり、不便になる
・騒音やルールなどによるご近所トラブル
・新しく建設された周辺施設により、日当たりが悪くなる
個人では解決できない問題が起きた場合、我慢して住み続けるか、持ち家を手放すことになります。
離婚の際にトラブルの元となる
離婚の際に、夫婦の持ち家がトラブルの元となるケースがあります。
持ち家を売却する場合は、売却で得たお金の分け方や売却方法をめぐってトラブルになる可能性があります。
さらに残りの住宅ローンよりも売却価格が安いと、差額の支払い方法についても話し合わなければなりません。
夫婦のどちらかが持ち家に住み続ける場合は、住宅ローンの支払いが続くため、名義人や連帯保証人の変更が必要になるケースもあります。
「持ち家はいらない」と考える人の理由
「持ち家はいらない」と考える人には、以下のような理由があることが多いです。
・引っ越しをする可能性が高い
・金銭的な余裕が無い
・将来的に親の持ち家を相続する予定
・勤め先からの住宅手当が大きい
自身の状況や価値観と比較しながら、詳しく見ていきましょう。
引っ越しをする可能性が高い
転勤や海外移住などで引っ越しをする可能性が高い人にとっては、持ち家が足かせになってしまいます。引っ越しをする際には、持ち家を売却したり賃貸に出したりするのが一般的です。しかし買い手や借り手が見つからない場合、単身赴任などで家族が離れて生活することになる可能性もあります。
手間やリスクを考えると、持ち家よりも身動きが取りやすい賃貸住宅のほうが、引っ越しをする可能性が高い人に選ばれやすいです。
金銭的な余裕が無い
金銭的な余裕が無いことも、家を持たない理由の1つです。持ち家は住宅ローンだけでなく、税金やメンテナンス費用もかかります。
以下のような状況だと、持ち家に踏み切れないことが多いです。
・子どもが何人増えるかわからないため、養育費の予測がつかない
・子どもの学費を優先的に準備したい
・事業を始めたばかりで収入が不安定
持ち家には、金銭的な余裕だけでなくライフプランも深く関係してきます。
将来的に親の持ち家を相続する予定
将来的に親の持ち家を相続する予定であれば、自身で住宅を購入する必要はありません。
親の持ち家を相続する場合、購入費用がかからないメリットがありますが、相続税や固定資産税の支払いは発生します。築年数が古いと、修繕や耐震補強、リフォームを行うための資金も必要です。
また、親の持ち家を相続する際には「相続登記」を行う必要があります。相続登記とは不動産の名義変更のことで、法務局に登記簿謄本や印鑑証明書などの必要書類を提出して申請します。
勤め先からの家賃補助が大きい
勤めている会社の福利厚生として家賃補助が支給されている場合、支給額によっては賃貸物件に住み続けるほうがお得だと考える人もいます。
持ち家でも家賃補助を支給してくれる会社もありますが、一般的には賃貸物件限定です。
また、家賃補助のある賃貸物件に住み続ける場合、以下のような不都合が起こる可能性があります。
・会社の都合で家賃補助制度が突然廃止される
・物件を選ぶことができない
・気軽に引っ越しができない
・家賃補助の支給に年齢制限がある
数年間だけ家賃補助のある賃貸物件に住み、資金を貯めてから住宅を購入する人もいます。
持ち家を手放す方法
持ち家を手放す方法は、以下の3点が一般的です。
・買ってくれる人を探す
・不動産屋に買い取ってもらう
・空き家バンクを利用する
慎重に検討したうえで住宅を購入しても、何らかの理由で手放すことになる可能性はゼロではありません。持ち家を手放す方法をあらかじめ知り、持ち家の検討材料にしてください。
買ってくれる人を探す
買ってくれる人を探して売却することで、持ち家を手放す方法です。
周辺の相場を調べたうえで、不動産屋に持ち家の査定や仲介を依頼しましょう。納得して売却を進められるように、複数の不動産屋に査定してもらい、比較することも大切です。
持ち家の広告活動や内覧などは、不動産屋が対応してくれます。早ければ3ヶ月ほどで買い主が見つかり持ち家を手放せますが、買い主が見つからないリスクもゼロではありません。
持ち家を売却できた場合は、仲介を依頼した不動産屋に対して仲介手数料を支払います。売却にかかる費用は少しでも抑えたいところですが、難しい手続きが多いため不動産屋に対応してもらうのが賢明です。
また、全国に広がる不動産屋のネットワークを駆使して広告活動を行ってもらうことで、買い主を早く見つけることができます。持ち家を売却する際に住宅ローンが残っている場合は、売却で得た代金を使って完済する必要があります。
不動産屋に買い取ってもらう
不動産屋に持ち家を買い取ってもらう方法もあります。買い主が見つからないリスクが無く、持ち家を素早く手放すことが可能です。
一方でデメリットとして、不動産屋に仲介を依頼して買い主を探すよりも売却価格が低くなることが挙げられます。
持ち家の売却価格よりも売却の早さを優先したい人にオススメの方法です。
空き家バンクを利用する
空き家バンクを利用して持ち家を手放す人もいます。
空き家バンクは自治体が運営しており、空き家の情報をホームページなどに掲載して買い主を募るシステムです。地域の活性化や、空き家対策を主な目的としています。
自治体は不動産屋のような広告活動をしてくれるわけではありません。空き家バンクに持ち家を登録した後は、買い主が現れるのを待つのみです。
また、買い主との交渉や契約方法は自治体によって異なります。あらかじめ自治体のホームページなどから、詳細を確認しておきましょう。
まとめ
持ち家が必要かどうかは、家庭の事情や持ち家に対する価値観によって決まるため、正解はありません。さまざまな理由により「持ち家はいらない」という結論を出す人もいます。
この記事で解説したことを参考にして、持ち家について家族でよく話し合うことが大切です。
住宅ローンを数十年かけて返済していくことを考えると、持ち家に対して焦りが出てしまうこともあります。しかし「同年代の友人が家を持っているから…」「不動産屋にオススメされたから…」と流されることなく、自身の家庭に持ち家が必要かどうかを検討しましょう。
ブログ:
皆の笑顔に我が笑顔あり
徳本 友一郎
- 所属会社:
- 株式会社スタイルシステム
- 所属会社のWEBSITE:
- http://www.style-system.net
- 保有資格:
- CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
- 著書:
- 初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント
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