一戸建ての駐車場の設計方法は?設計ポイントや注意点について詳しく解説!
マイホームの建築・購入にあたっては、家族が快適に暮らすためにさまざまな点を考慮する必要があります。周辺の様子や駅からの距離、お住まいの間取りなど、考慮すべきポイントはたくさんあります。
また、ご家族が車を主な移動手段と考えている場合、駐車場への配慮は非常に重要と言えます。なぜなら駐車場を作るにはある程度の広さが必要で、居住空間とのバランスを考える必要があるからです。
この記事では、駐車場を作るメリット・デメリット、基本的なサイズや設計時の注意点などを詳しく解説します。一戸建てで駐車場を作ろうと考えている方は、こちらの記事を参考にしていただければ幸いです。
一戸建てに駐車場をつくるメリット・デメリットは?
そもそも一戸建てに駐車場をつくるメリットはどのようなところにあるのでしょうか?家に駐車場をもつメリットについて解説しましょう。
ただ当然ですが、メリットもあればデメリットもあります。併せて駐車場をもつデメリットについても解説します。
駐車場をつくる4つのメリット
まずは駐車場をつくる4つのメリットについて紹介します。
月額料金がかからない
自宅に駐車場を作るメリットの1つに、駐車料金の節約があります。
あたりまえのことですが自宅に駐車すれば駐車料金はかかりません。周辺の月極駐車場の相場が月5,000円なら、年間60,000円の節約になります。住宅は基本的に数十年以上住むことを前提に建てるでしょうから、長く住み続けると数百万円以上の経済効果があります。
特に東京などの大都市圏で一戸建てを建てる場合、駐車場を作るメリットは非常に大きいと考えられます。
買い物時に便利
自宅に駐車場があると、大きなものを買い物しに行く際、とても便利です。
自宅に駐車場を作ることで、購入した布団や家具、大型家電などを持ち帰ることができます。そのまま持ち帰ることで、電車やバスで持ち帰ることを考えればその手間が省けますし、お店に送ってもらう場合は送料もかからなくなります。
また、自宅に駐車場があれば、重くて大きな材料を使ったDIYも簡単にできます。
このように一戸建てに駐車場を作ることで、暮らしの幅や選択肢が広がるでしょう。
車の管理がしやすい
自宅に駐車場があると、車の手入れをしやすくなります。さらに屋根付きの駐車場は、雨や風から車を守ります。
また、車が盗まれるリスクを下げられます。車両盗難は人目に付きにくい状況で発生しやすいため、自宅から離れた場所に駐車場があると被害を受けやすいと言えます。これに対し自宅駐車場であれば、センサーなどの対策も取りやすくなり、盗難やいたずらなどの被害を回避しやすくなります。
物置など別の用途でも利用できる
自宅に駐車場を作れば、駐車場以外の用途にも使えます。
例えば駐車場をもう少し広くすれば、バイクや自転車も停められます。
また駐車場は趣味のスペースとしてもご利用いただけます。車がない時は、お子様やペットの遊びスペースとしてご利用いただけます。
さらに自分自身で車を使わなくなったとしても、月極駐車場として貸し出すこともできるでしょう。貸し出すことで月々の収入を得られます。
駐車場をつくる2つのデメリット
次に駐車場をもつ2つのデメリットについて解説します。
居住スペースが狭くなる
駐車場を作るデメリットの1つ目は、間取りの難しさです。
駐車場は広い方が良いですが、場所をとりすぎると庭や生活空間が狭くなってしまいます。また、駐車場の上部が使えないと、生活空間の管理がさらに難しくなります。駐車場から玄関までの動線やドアの開閉面積を考えなければならず、全体の間取りを考える難易度は高くなると考えられます。
作る為のコストがかかる
駐車場をつくればそれだけコストがかかるのがデメリットと言えます。
一方で自宅に駐車場を建設すれば、駐車料金を負担する必要がないので、最終的には建設費を全額回収することができます。一戸建てに長く住むことを想定すると、最終的にはプラスになると考えられます。
駐車場のサイズはどう決めればよいか?
駐車場を作るデメリットとして、駐車スペースが必要になるため生活空間が狭くなるとおっしゃっていましたが、駐車スペースはどれくらいなのでしょうか?
必要な駐車場の広さは、各家庭の状況や現在乗っている車、および将来乗り換える想定の車の大きさによって異なります。また、土地の関係上、十分な駐車スペースを確保できない場合もあるでしょう。
ここでは一般的な駐車場に必要なスペースについて詳しく解説します。
駐車場に必要となる広さ
駐車場の一般的な建築寸法は「幅2.5m×長さ5.0m 車道幅5.0m」と言われています。但し一般駐車場専用であり、車いすを使用する家族がいる場合は、より多くのスペースが必要になります。
では、例えば2階建ての4LDKの家に駐車場を建てる場合、敷地面積はどのくらい必要になるでしょうか? 2階建て4LDKの家を建てるには、約35坪のスペースが必要です。
これに駐車スペースを追加した場合、上記の一般的な寸法に若干のマージンを加えて、幅3.0m×長さ5.5mとすると、1坪は約3.31㎡ (3.0m×5.5m = 16.5㎡)となるため、約5坪になります。駐車場付きの2階建て4LDKの家を建てるには、単純に40坪程度を考える必要があります。
また、国土交通省が公表している「駐車場の設計・施工ガイドライン」では、駐車場は以下の広さ以上と規定されています。
車両タイプ
|
幅
|
長さ
|
軽自動車
|
2.0m
|
3.6m
|
小型車
|
2.3m
|
5.0m
|
大型車
|
2.5m
|
6.0m
|
※国土交通省「駐車場設計・施工指針について」より
(https://www.mlit.go.jp/road/sign/kijyun/pdf/19920610tyuusyajou.pdf)
しかし、これはあくまでも最低限のサイズであり、より快適性をもとめるなら自宅の事情に合わせたサイズの駐車場を作る必要があります。
特に運転に自信のない方や大型車に乗る予定の方は、駐車場の広さに十分注意が必要です。
車の大きさを理解することも重要
駐車場の大きさを考えるためには、車の大きさを把握することが重要と言えます。一般的な車のサイズは次のとおりです。
車両タイプ
|
幅
|
長さ
|
高さ
|
軽自動車
|
1.5m
|
3.4m
|
1.75m
|
小型
|
1.7m
|
4.1m
|
1.5m
|
中型
|
1.7m
|
4.7m
|
1.5m
|
ワンボックス
|
1.7m
|
4.8m
|
2.0m
|
大型
|
1.9m
|
5.0m
|
1.5m
|
国土交通省が定める最小サイズであれば、基本的には車が入りますが、かなりきつくなります。
例えば、軽自動車の全幅1.5mと国土交通省の最低基準2.0mとの差はわずか50cmほどしかありません。また、実際に駐車場を設計する際には、車高も考慮する必要があります。
駐車場の向きにも注意が必要
駐車場を作るうえで、向きも重要となります。使い勝手の良し悪しや効率的な居住スペースへの影響などが異なる為、注意が必要となります。ここでは大きく3つの選択肢について紹介します。
縦列駐車
縦列駐車はその名の通り、道路に対して垂直に縦一列に並べて駐車する方式で、縦に長いスペースが必要です。上記で紹介したように、5m50cmの車両2台分のスペースを確保しようとすると、約11mの長さが必要になります。
また縦長スペースなので確保しやすいというメリットがある反面、縦に並んでいるため、奥の車が出しにくいデメリットがあります。
並列駐車
縦列駐車は道路と平行に並んでいます。いわゆる縦列駐車の平行パターンと考えればわかりやすいのではないでしょうか?
並列駐車の場合も、縦長のスペース必要です。ただ縦列駐車とはことなり道路と平行なので車の入れ替えがしやすい上、縦列駐車のようにスペースを確保しやすいのがメリットです。
一方で道路に平行で駐車することになる為、駐車した向きと逆方向に車が出しにくい点はデメリットとなります。
直列駐車
直列駐車は、最も一般的なタイプの駐車です。駐車の仕方は、車が道路に対して垂直に並ぶ形となります。運転が得意な方なら振り向かずに駐車できますし、すべての車が他車を気にすることなく自由に出入りできる点はメリットとなります。
一方で道路に対し広い土地を確保しなければならず、土地の形状などによっては確保しづらい点がデメリットと言えるでしょう。
駐車場の施工方法
駐車場を建てるうえで、重要なポイントの1つ、それは施工方法とデザインです。建物と駐車スペースの整地方法は家全体のデザインにも影響するのと同時に使い勝手や車の保護など、あらゆることに影響を及ぼします。
ここでは、建物部分と整地方法について、紹介します。
駐車場建屋の種類
まずは建屋の種類について紹介します。大きくはビルトインガレージとガレージ、およびカーポートの3つがあります。
ビルトインガレージ
ビルトインガレージとは、家と一体になったガレージです。家と一体化することで、家から駐車場までの距離が短くなる、車と一緒に暮らしているような気分になれる、車が子供の遊び場になれるなどのメリットがあります。一方で、1階はほとんどが駐車スペースで、メインの居住スペースは2階以上となる点や、また、エンジン音が家に響き渡る、耐震性低下などのデメリットもあります。
ガレージ
ガレージとは、四方を壁で囲い、シャッター等で開け閉めできる駐車場のことです。四方を壁に囲うことで、車を風雨から守れるだけでなく、鍵などをかけられることから防犯性も高いといえます。
しかしながらガレージはいわゆる建物扱いとなる為、建築するためには建築許可申請が必要となります。また、建物扱いとなる為、固定資産税の対象となりますので、このあたりは注意が必要です。
カーポート
カーポートとは、柱に屋根が付いたシンプルなガレージです。壁がないので開放感があり、洗車などがしやすい駐車場といえます。また、ガレージよりも費用がかからず、設置期間もかからないというメリットがあります。
しかし、台風などの強風には弱く、屋根が飛ばされるといったデメリットもあります。
整地方法
次に整地方法についてです。整地方法もいろいろあり、建物との調和性が求められる重要なポイントとなります。
大きく3つの方法について紹介します。
コンクリート
駐車場の床面といえばコンクリート、と思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
駐車場全体にコンクリートを敷いたり、車のタイヤを載せる場所だけコンクリートを敷いたりと、意匠性の高さが魅力です。コンクリート自体が非常に強いため、割れにくく、多少のひび割れがあっても問題なく使用できる点は大きな魅力です。
しかしながら基礎作りに失敗すると後で傾くなどの問題が起こるケースがあるので注意が必要です。
芝生
芝生を駐車場として使えば緑が映えてさわやかになるので、憧れの人も多いのではないでしょうか。またコンクリートやアスファルトに比べて夏でも涼しいのも魅力です。
芝には人工芝と天然芝があります。人工芝は枯れる心配もありませんし、品質が良ければ天然芝と見分けがつかないものもあります。ただ枯れる心配はありませんが、素材は経年劣化しますので、一般的に5~10年で交換が必要です。
一方、天然芝は季節によって色が変わるので、その変化を楽しめます。また、人工芝よりも低価格で購入でき、適切なお手入れをすれば人工芝よりも長く使えるので、ガーデニングを楽しむ方にもおすすめです。
ただし、日当たりや水はけが悪いと芝が育たないので、天然芝を使用する場合は置き場所を考える必要があります。
ただ人工芝や天然芝に駐車しても大丈夫なのでしょうか?気になる方もいらっしゃると思います。結論から言うと、大丈夫ではありません。車の重量に押しつぶされ、芝がダメになることもあります。そのため、タイヤが乗る部分のみコンクリートを敷いて対処することをお勧めします。
砂利
砂利は、コンクリートなど他の素材よりも安価に施工できます。また、砂利道を歩くと音がするので、車上荒らし防止にも期待できます。さらに様々な色合いの砂利があるので見た目も美しくできます。
しかし、砂利が飛び散って車体に傷がつく、ホコリで車体が汚れてしまうなどのデメリットもあります。そこで、コストを抑えてデメリットを抑えられる砕石をおすすめします。
砕石は砂利と違い大きさがバラバラなので固まりやすく、飛び石やホコリなどのダメージを軽減できます。また、砕石を選ぶ際は、0mm~40mm程度の大きさの砕石が入っている素材を選ぶと固まりやすいのでおすすめです。
その他
以上、駐車場の建物と床について紹介しましたが、最後に照明についても紹介します。
駐車場にライトを設置することで、暗い夜でも安全に帰宅でき、車上荒らしやイタズラの防止にもなります。人感センサーライトは、駐車場の照明などに使われることが多く、人や生き物の熱に反応して点灯します。外出時にライトが点灯するので、カバンから車のキーを取り出すときにも便利です。
また、外付けタイプと内側に直付けタイプがあります。外付けだとメンテナンスが楽にできますが、配線が丸見えなので見た目が少し悪いかもしれません。一方直付けは配線が壁の中に入り見栄えは良くなりますが、メンテナンスや交換が大変です。
まとめ
ここでは一戸建ての駐車場について開設しました。駐車場のメリット・デメリットや建設時に注意すべき点についてお分かりいただけたでしょうか?
これからどんな暮らしをしたいのか、どんな暮らしをしたいのかを考え直し、家の中・外観・駐車場のバランスを考えた上で、どんな駐車場があなたに合っているのか検討することが非常に重要です。家族や施工業者と話し合って、快適に利用できる駐車場作りを目指しましょう。
ブログ:
皆の笑顔に我が笑顔あり
徳本 友一郎
- 所属会社:
- 株式会社スタイルシステム
- 所属会社のWEBSITE:
- http://www.style-system.net
- 保有資格:
- CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
- 著書:
- 初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント
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