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家・住宅購入コラム

水害等の災害に備えるための都市・住宅の強靭化

不動産協会は、5月に「水害等の災害に備えるための都市・住宅の強靭化」研究会の報告書を公表しました。この研究会は、19年秋の水害を契機に発足されました。大都市のマンションに対する気候変動対策と水害への強靭性を高めるための方策を検討しました。

報告書では、①ディベロッパーなどの開発者・管理者(管理組合)、②近隣住民等、③行政の3つの主体に分けて具体策を提示すると共に、容積率算入見直しや税制改正の検討にも触れました。それを踏まえて、それぞれが連携していくことの重要性が示されました。

まず、開発者・管理者(管理組合)が実施する強靭化策は、一般的に地下に設置されることが多い機械室等への浸水を防止する策として、下水からの逆流による浸水を防止することを含めた水防ラインの見直し・強化を提案しました。そのうえで、想定される被害に対して不十分と考えられる場合には、機械室の水密化による機能継続を図ることを指摘しました。

また、中高層建築物などを新築する場合には、ハザードマップで示されている想定浸水の深さなどを十分に考慮して、機械室を地上部に設置することも検討すると共に、その際には機械室が騒音・振動などを発する点や地上に設置すると容積対象となることなどを考慮する必要性を提示しました。

次に、近隣住民等が実施する具体策は、事前準備の重要性を指摘しています。程度が軽い浸水に対応するため、個別住宅への止水対策や地下や半地下といった浸水する可能性のある階の居住機能を上階に移動、食料、簡易トイレ等の備蓄を十分に備えておくことなどを示しました。

また、日頃から避難場所・避難経路を確認し、実際に避難訓練を行い、問題がないか確認するなど、準備を怠らないことが望ましいとしました。問題があると考えられる場合には、各主体が防災・減災を進めていく共助、すなわち『安全のシェア』による解決が可能かどうか、自主防災組織やほかの主体との連携の必要性を訴えました。

行政には、開発者・管理者(管理組合)や近隣住民等が適切な具体策を図ることができるよう、内水氾濫のハザードマップなどの水害ハザード情報を作成・公開します。更に個別の開発者・管理者(管理組合)や近隣住民等の立場に立って、特定の敷地の水害ハザード情報が明確にわかるようにするといったきめ細やかな配慮を求めました。また、開発者・管理者(管理組合)や近隣住民等が自助努力では対応しきれない場合には、地区防災計画の活用、都市計画的手法や協定締結の支援などにより、『安全のシェア』の実効性を高めていくことも提示しました。

そして、都市・住宅の更なる強靭化に向けて、3つの主体が『安全のシェア』の精神で連携を強化することで、持続可能な都市・住宅を目指すことの重要性を示しました。

平野 直子

所属会社:
FPオフィスLife&Financial Clinic
所属会社のWEBSITE:
http://www.mylifeplan.net
保有資格:
CFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士、 貸金業務取扱主任者資格、住宅ローンアドバイザー、福祉住環境コーディネーター2級
著書:
30代夫婦が働きながら4000万円の資産をつくる考え方・投資の仕方
All about:
「夫婦FP・平野泰嗣と直子が応援!ふたりで学ぶマネー術」担当ガイド

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