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家・住宅購入コラム

20年基準地価

国土交通省は9月29日、20年都道府県地価調査(7月1日時点の基準地価)を公表しました。同調査によると、全国の全用途平均は0.6%下落(前年比1.0ポイント減)で、2年続いた上昇傾向から再び下落に転じました。商業地も0.3%下落(同2.0ポイント減)で下落に転じ、住宅地は0.7%減(同0.6ポイント減)で下落幅が拡大しました。2月頃から国内でも広がった新型コロナウィルス感染症による不動産取引の停滞が、全国の地価に如実に影響を与えた格好です。

基準地価は届く府県の発表に合わせ、国交省が取りまとめて公表しているもので、今回の基準値点数は2万1507地点。同省が毎年1月1日時点の地価を調査、3月に公表している地価公示に対し、補完的な位置付けにあります。

20年同調査の対象期間は19年7月1日から20年7月1日まで。前半の20年1月頃まではインバウンド増加を背景とした宿泊・商業施設用地などを中心に、地価の回復傾向が続いていたと見られます。

しかし新型コロナウィルス感染症により状況は一変。社会・経済状況の不透明感から土地需要が弱まり、不動産取引の停滞を招いて地価の回復傾向に歯止めがかかりました。こうした背景から、地価の下落傾向は、住宅地よりも商業地でより強く見られました。

全国の「上昇」「横ばい」「下落」の地点数を用途別の割合で見ると、住宅地は下落が63.0%(同11.2ポイント増)で、商業地は55.5%(同15.0ポイント増)。同感染症の拡大は観光分野に比較的強い影響を及ぼしたほか、テレワークの拡大等によるオフィス需要の変化などももたらしました。そのため、商業地ではより明確に“コロナショック”が顕在化したと考えられます。

主に新型コロナウィルス感染症の影響により、19年まで続いていた地下回復傾向の停滞が見られた20年都道府県地価調査。住宅地・商業地とも全国的に、「上昇」から「下落」への反転、上昇幅の縮小や下落幅の拡大といったマイナスの動きを示しました。

都道府県別の地価変動率区分を見ると、住宅地では変動率「上昇」が5(前年比10減)、「下落」が42(同10増)。商業地では「上昇」が10(同9減)、「下落」が36(同10増)で、いずれも一部の地域を除いて「下落」が広がりました。

地域別で見ると、三大都市圏は前年までの上昇傾向から一転、ほぼ横ばいまたは下落となっています。東京圏は住宅地0.2%下落(同1.3ポイント減)、商業地は1.0%上昇(同3.9ポイント減)。大阪圏は住宅地0.4%下落(同0.7ポイント減)、商業地は1.2%上昇(同5.6ポイント減)。名古屋圏は住宅地0.7%下落(同1.7ポイント減)、商業地は1.1%下落(同4.9ポイント減)。

住宅地では東京圏・大阪圏が7年ぶり、名古屋圏が8年ぶりの反転下落となりました。商業地では、東京圏・大阪圏が大きく勢いを減じながらも上昇を保ったのに対し、名古屋圏では8年ぶりに下落に転じています。

これに対し、札幌、仙台、広島、福岡の“地方四市”が住宅地3.6%上昇(同1.3ポイント減)、商業地6.1%上昇(同4.2ポイント減)で、上昇幅は縮小したものの一定の地価上昇率を保ちました。

葛生 貴昭

所属会社:
株式会社 村越不動産
所属会社のWEBSITE:
http://www.murakosi.jp/
保有資格:
2級FP技能士、宅地建物取引士

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